著名な数学者テレンス・タオ氏は、Mathstodon への投稿で、人工知能が数学の研究環境に与える影響について警告を発した。同氏は、優れた実りのある未解決問題の集合が、まるで非再生可能な資源のように急速に消費されており、いずれ有用な問題が不足する事態が起こり得ると指摘している。
タオ氏によれば、現在では「誰かがこの問題に取り組んでいる」という噂が流れるだけで、AIを活用した大規模な研究努力が殺到し、本来の研究プロジェクトが十分に成熟する前に問題を解決してしまうことが起きている。その結果、有望な研究方向をコミュニティ全体に共有することが不利になるという認識が広がり、研究者が意欲的なテーマを公に話さなくなる可能性がある。
同氏は、このようなインセンティブの変化が、数世紀にわたって続いてきたオープンサイエンスの伝統を逆転させると懸念している。科学研究は長い間、アイデアや問題を公開し合うことで発展してきた。しかし、最も価値のある方向性が秘匿されるようになれば、数学の将来にとって取り返しのつかない長期的な損害をもたらしかねない。
この発言は、サイモン・ウィリソンによって2026年9月9日に引用・公開され、AI時代における数学研究のあり方とオープンサイエンスの価値をめぐる議論を呼び起こしている。