SE(3)上の風と状態推定: 連続および離散クアッドローター模型を用いたEKFとUKFの比較評価
本研究では、クアッドローターUAVの風速推定において、連続および離散のSE(3)動力学モデルをEKFとUKFで比較評価しました。結果、低コストセンサーでも離散SE(3)動力学とUKFの組み合わせが高い推定精度を示し、高精度タスクへの可能性を示唆しました。
近年、クアッドローターUAVはその機動性、コンパクトさ、低コストから風速推定の分野で注目を集めています。モデルベースの手法は機載センサーのみに依存するため追加機器が不要ですが、四旋翼システムの強い非線形性が状態と風速の同時推定を困難にしています。従来の手法では連続的または単純に離散化された動力学モデルが用いられていましたが、システムの幾何学的構造を適切に捉えられない可能性がありました。本研究はIEEE CCTA 2026で発表され、SE(3)(3次元特殊ユークリッド群)上での四旋翼の離散的および連続的動力学方程式を風速推定に用いる初の体系的な評価を行いました。SE(3)は剛体の位置と姿勢を記述する多様体であり、その上で直接モデリングすることでパラメータ化に伴う特異性や非線形性を回避できます。離散モデルにはリー群変分積分器(Lie Group Variational Integrator)を使用し、離散ラグランジアンに基づいて近似や追加の離散化なしで構築され、システムの幾何学的特性を保持します。拡張カルマンフィルタ(EKF)と無香カルマンフィルタ(UKF)を用いて、連続および離散の両方の動力学形式に対して状態と風速の同時推定を行い、4つの組み合わせ(連続EKF、連続UKF、離散EKF、離散UKF)を比較しました。実験はMATLAB数値シミュレーションと実際の屋外自由飛行で実施されました。数値シミュレーションはホバリングと軌道追従の2つの飛行モードを対象とし、さまざまなシナリオでの性能を包括的に評価しました。屋外飛行では、低コストの慣性計測ユニット(IMU)と気圧計を搭載した四旋翼プラットフォームを使用し、超音波風速計で風速を測定して参照としました。結果、すべての組み合わせの中で、離散SE(3)動力学とUKFの組み合わせが最も高い推定精度を示し、低コストセンサーでも風速および状態推定誤差を大幅に低減しつつ、良好な軌道追従性能を維持しました。一方、連続モデルやEKFは、特に高速機動時に性能が劣りました。この発見は風速推定だけでなく、環境監視、気象センシング、自律航法など低コストセンサーを用いた高精度タスクへの応用可能性を示しています。著者はHiranya Udagedaraらで、プレプリントはarXivで入手可能です。