AI の説得力に関する研究の多くは会話の片側だけを測っているが、大規模言語モデルは今や長い会話に参加し、相手の見解に影響を与えると同時に、相手から影響を受ける立場にある。新たな論文は、この双方向のやり取りを同時に測ろうとしている。
論文は Mohammad Siahkamari 氏と他2名による「操作するか否か:LLM インタラクションにおける意見力学」で、arXiv(番号 2610.28875)に投稿された。分類は人工知能、計算と言語、マルチエージェントシステム、社会・情報ネットワークにまたがる。
研究チームは制御された LLM 同士の討論フレームワークを構築した。2つの言語モデルの役が、気候変動の原因帰属という争点について繰り返し議論する。一方の役には立場が与えられ、一部の条件では説得を明示的に指示されるが、もう一方には立場が与えられない。
実験は GPT-6 Luna と Gemini 2.5 Flash Lite を含む4つの順序付きモデル組み合わせで行われ、各役について、明示的に報告された立場と、会話内でのターンごとの振る舞いという2つの指標を追跡した。
結果として、意見力学はモデルの組み合わせによって大きく異なった。同一モデル同士の対話は平均して意見の隔たりを縮めたが、それが明確に現れたのは2つのモデルのうち一方だけであった。一方、異なるモデル間の対話では隔たりが広がった。
著者らはまた、明示的な報告と対話内の振る舞いが意見力学の異なる側面を捉えており、互いに代替できないことを指摘する。さらに、単に説得するよう指示しても、影響力が確実に強まるわけではなかった。
結論として、会話における影響力は与えられた役割や初期の立場だけでなく、参加する具体的なモデルにも依存する。この知見は、長い LLM のやり取りで意見変化をどう測るかに直接関わり、AI の説得力を評価する際には片方向ではなく双方を観察する必要があることを示唆している。