大学のAIゾンビ化
オーウェン・イングリングはシカゴ大学での経験を基に、AIの使用がキャンパスで癌のように教育を腐敗させていると警告。学生のカンニングから教授の講義に至るまで蔓延し、エリート大学がAIを推進する一方で、自立した思考ができない世代を生み出していると述べる。
オーウェン・イングリングは「The New Critic」誌に寄稿し、シカゴ大学での自身の経験を基に、人工知能(AI)が大学教育を癌のように蝕んでいる現状を描いている。彼は、キャンパスでのAI使用が単なるカンニングツールから組織的な脅威へと変貌し、若いアメリカ人の世代を自立した思考ができない「よだれを垂らすバカ」に変え、大学の教育機関としての本質を破壊する可能性があると警告する。
記事は、UCLAの卒業式で学生がChatGPTの画面を見せた写真を引用するが、イングリングはこれを単なる不正行為として片付けない。彼はシカゴ大学での初期の良性腫瘍から現在の転移段階への変化を振り返る。最初はビジネス経済学専攻でAIが流行し、そうした科目はそもそも簡単で、学生は問題集や試験にAIを使っていた。その後、経済学部全体に広がり、試験中に学生がスマートフォンで問題を撮影し、LLMに送信して回答を書き写す事態になった。最終的には人文科学にも波及し、兄弟会のメンバーは必修の人文科目での不正が減ったが、成績は上がった。
さらに憂慮すべきは、キャンパスメディアへの浸透だ。シカゴ大学の学生新聞「Maroon」にAIが書いた記事が2本掲載され、他の学生出版物もAIに依存している。イングリングは教授までもがAIを使って講義原稿を作成しているのではないかと疑う。彼は、これは単なる学問的不正ではなく、キャンパス文化全体がAIによってゾンビ化している証拠だと強調する。
記事は「ゾンビアリ菌」の比喩を用い、学生が学習、社交、私生活まで徐々にAIに委ねる様子を描写する。イングリングはスコット・アレクサンダーのSF小説「Whispering Earring」を引用し、AIが常により良いアドバイスを与えるイヤリングのように、最終的には人の動作一つ一つを支配するようになると示唆する。エリート大学の競争環境では、学生はGPA、課外活動、社交生活のバランスを取るためにAIに依存せざるを得ず、大学自身が効率性や利便性を謳ってAIを推進している。
最後に、大学そのものがこの流れを後押ししていると指摘する。シカゴ大学はAI研究と教育に5000万ドルの寄付を受け、ハーバード、イェール、コロンビアなどもAI教育に巨額を投じている。この傾向は、批判的思考や人文精神を育むという大学の伝統的使命から乖離している。
イングリングの結論は、大学におけるAIの氾濫は単なる不正問題ではなく、文化的大災害である。このまま続けば、大学は賢者やリーダーを育てる場ではなく、機械に依存する「ゾンビ」を量産する工場と化すだろうと警告する。また、彼はクラスメートがAIを宿題、メール、ジムの計画、さらには恋愛メッセージにまで使う様子を目の当たりにし、衝撃を受けたと述べている。