潜在世界モデルは、ピクセル空間ではなく潜在空間で予測や計画を行うアプローチとして近年重要性を増している。LeWorldModel(LeWM)などの最近のアーキテクチャでは、SIGRegに代表される正則化によってエンコーダと予測器を共同で訓練し、表現の崩壊を防いでいる。しかし、本論文の著者らは、たとえ表現の崩壊が防がれていても、特に動的な環境において「物理表現の怠惰」という新たな失敗モードが発生することを見いだした。この状態では、学習された潜在表現は崩壊していないものの、重要な物理的特性を適切に表現できず、その結果として下流の計画タスクが広く失敗してしまう。
この問題を解決するため、著者らは訓練時のみに機能する軽量な「フーリエ補助ヘッド」を提案している。これは潜在空間に物理的に意味のある構造を強制的に導入する補助監督であり、推論時の追加コストを一切必要とせず、あらゆる環境に一般化できる。実験では、ベースラインのLeWMが物理表現の怠惰を示す動的な環境条件において、補助ヘッドによって計画成功率が大幅に向上することが確認された。また、ベースラインがそのような怠惰を示さない環境でも、適度な改善効果が見られた。さらに、計画性能の向上に伴って、潜在空間と主要な物理特性との間の相関が高まっていることも観察された。この結果は、提案手法が潜在状態を物理的に構造化するだけでなく、学習された表現の物理的構造が計画側にも利益をもたらすことを示唆している。
加えて、データが少ない低データ環境では、補助監督が成功率の向上に特に顕著な効果を発揮した。著者らは、フーリエ補助ヘッドが全体的な成功率とデータ効率の両方を改善し、潜在世界モデルにおける表現の怠惰を回避する上で有用であると結論付けている。本論文は2026年9月2日にarXivへ投稿され、9ページ・4図からなる内容であり、機械学習(cs.LG)分野に分類されている。