ミッションクリティカルな現場では、人間の代わりに危険な環境へ入り、人間用の道具を使って作業を完遂する「無人対話型自律性」が求められています。しかし実際には、訓練データが乏しく、搭載コンピュータしか使えない上に、配備後に直面する新規事象へ適応しても、既存の能力を消去してはならないという難しい制約があります。この課題に応えるため、Amarjot Singh氏ら10名の研究チームは2026年9月3日付けでarXivに「Continual Field-Adaptive Models (CFAMs) for Post-Deployment Physical AI」を提出しました(arXiv:2609.04552、カテゴリはcs.ROおよびcs.AI)。
CFAMは、実験室で効率よく学び、配備後も自律的・勾配フリー・オンデバイス更新で学習を続けることを目指します。その根幹は、凍結された低速学習コンポーネントと高速学習コンポーネント「Capsule Field(カプセル場)」を組み合わせた補完学習アーキテクチャです。低速コンポーネントは3つの皮質を持ちます。Sensor皮質はマルチモーダル入力を3D空間に接地された幾何情報へ変換し、Reasoning皮質はタスクをスキルへ分解して結果を評価し、Action皮質は幾何スキルを実行します。Capsule Fieldは、現場での学習内容を「Competence Capsules(コンピテンスカプセル)」としてワンショットかつ勾配なしで蓄積します。スキルの導入は実験室では少数例で可能であり、配備後は継続的に行われます。オープンワールドの未知の新奇性は対象外とされています。
評価は、マニピュレータ、四脚ロボット、人型ロボット、クアッドローター、オフロード車両の5種類の実施形態で行われました。ベースラインのpi0、CogACT、SpatialVLAにも同一の社内マルチ実施形態データセットを使い、物理プラットフォーム上で比較しています。結果、CFAMは完全な事前学習データで訓練した標準ポリシーが到達する動作点を、データ量40%(軌道数で2.5倍少ない)で達成しました。テスト時には、検証済みのnear-OOD(分布外近傍)事例を自律的に収集・利用することで、動作成功率が13.9ポイント向上しました。
さらに、逐次的なシミュレーションでは、CFAMの後方転移は-0.5ポイントにとどまり、LoRAの-11.4ポイントより既存能力の保持に優れる結果でした。論文は、CFAMが「少数例からのスキル学習」「検証済みnear-OOD経験に基づく自律的な現場での成長」「既存能力の保持」を備えた、限定された形の配備後物理知能を提供すると結論づけています。なお、論文のDOIはDataCiteを通じて登録手続き中です。