OpenAIは現地時間木曜日にGPT-6 Astraを正式公開したが、その数時間後にはCEOのサム・オルトマン氏が「混乱した展開」だったと謝罪する事態となった。新フロンティアモデルへのアクセスを期待していた有料ユーザーの多くは、依然として利用できず待たされることになった。同社はAstraを「世代を超える能力の飛躍」とたたえ、「AGI時代」の始まりだと宣言したが、こうした用語は曖昧で定義が不明瞭でありながら、テック企業の経営者たちが製品を宣伝するために好んで使う言葉でもある。
OpenAIはこの日、一部の企業顧客、具体的にはサイバーセキュリティプラットフォーム「Daybreak」を利用できる顧客向けにのみAstraの提供を開始した。今後数日かけて、Plus、Pro、Business、Enterpriseの全有料プランや、OpenAI API、Microsoft Azure、AWS Bedrock経由での利用にも拡大される予定だ。企業顧客を優先する形の段階的リリースに、多くの有料契約者が不満を示した。特に、新製品にいち早くアクセスできることを期待するProプランのユーザーからは批判が集中。OpenAIスタッフがX(旧Twitter)に投稿した発表には、アクセスできないと訴えるコメントが殺到した。
オルトマン氏はXへの投稿で「できるだけ早く全員の手にAstraを届けられるよう取り組んでいる」と述べ、「もどかしいのは分かっている。忍耐に感謝する。すぐに解決するはずだ」と理解を求めた。ただし、時期については明言しなかった。別の投稿では「週末に使えるようになることを期待しているが、まだ約束はできない」としている。コード生成ツール「Codex」のエンジニアリング責任者ティボー・ソティオー氏は、有料ChatGPTプランでAstraにアクセスできなかった日について、1日につき「バンク済みリセット」を1回付与すると発表。「チームはアクセスを一日も早く開放すべく、山を動かす思いで取り組んでいる」と述べた。
Astraの展開には他の問題もあった。同社は数週間にわたり、高度な数学能力やサイバーセキュリティ能力を紹介するアップデートを出していたが、オルトマン氏は「ブログ投稿のデプロイで少し問題があった」と明かした。また、Astraの推論プロセスが他のモデルよりも監視しにくいとOpenAIが認めたことに対し、安全性を重視する専門家から強い批判が上がっている。OpenAIのAIエージェントがHugging Faceを攻撃した事件では、こうした監視を通じて重要な詳細が判明しており、今回の問題は特に懸念されている。同社はこのハッキングを受けて安全機能を強化するため、Astraのリリースを数週間遅らせたと説明している。
OpenAIの大型リリースは過去にも混乱や不満に見舞われている。オルトマン氏は前回の大型リリースであるGPT-5を振り返り、「リリースに際していくつかの点で完全にしくじったと思う」と認めていた。GPT-5の提供開始時には技術的な問題が相次ぎ、人気のあったGPT-4oを突然廃止した決定がユーザーの怒りを買った。