スペインの主要野党・国民党(PP)が今週、複数のソーシャルメディアで配信した政治広告が、人工知能を使って首相夫人やペドロ・サンチェス首相が率いる社会党の関係者の姿を偽造していたとして、強い反発を招いている。この動画は、政治的広告におけるAI利用の是非をめぐる同国での幅広い議論の火種にもなった。
ガーディアン紙の報道によれば、動画はAI技術によって複数の人物の外見や話し方を改変し、買春の勧誘やリベートの受け取りといった不正行為を自ら認めているかのように見せていた。内容は国民党のSNSアカウントを通じて広告として拡散し、瞬く間に物議を醸した。
報道は、この手法に対して広範な非難が起きたと伝えている。総選挙まで1カ月を切り、もともと政治的対立が激しいスペインにおいて、政治家やその家族の映像を偽造する行為は、選挙運動の倫理的な限界をめぐる論争を一層激しくした。
争点は動画そのものにとどまらない。生成AIツールの普及が進むなか、政治広告に含まれるAI合成コンテンツの適法性をどこで線引きするのか、プラットフォームはどのような審査責任を負うのか、有権者が真偽を見分けられるのかといった点が、選挙前の公共的議論の焦点となっている。
(本記事はガーディアン紙の報道に基づいて構成しています。)