2026年7月16日、Mira Murati氏が率いるThinking Machines Labは、最初のオープンウェイトモデル「Inkling」をリリースしました。Inklingは、Mixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャを採用したトランスフォーマーモデルで、総パラメータ数は9750億、アクティブパラメータは410億です。Apache-2.0ライセンスの下で公開され、テキスト、画像、音声、動画を処理できるマルチモーダル機能を持ち、45兆トークンでトレーニングされています。
また、同社はより小型の「Inkling-Small」(総パラメータ2760億、アクティブ120億)も発表していますが、こちらはまだテスト中であり、完了次第ウェイトが公開される予定です。
Inklingのモデルカードは、米国のAIラボが通常提供するものと比べて非常に簡潔です。さらに、トレーニングデータに関するドキュメントはさらに短く、ほとんど有用な情報が含まれていません。ドキュメントには、トレーニングデータがパブリックドメインのコンテンツや知的財産権の対象となる可能性のあるコンテンツを含むこと、公開インターネットや第三者データセットから取得されたことだけが記載されています。この透明性の欠如は、一部の関係者の間で懸念を引き起こす可能性があります。
Thinking Machines Lab自身が認めているように、Inklingは最先端のフロンティアモデルではありません。その代わり、同社のTinkerトレーニングプラットフォームを使用したファインチューニングに適した強力なベースモデルとして設計されています。Inklingは、マルチモーダル機能、効率的な推論、Tinkerプラットフォームでの利用可能性を組み合わせることで、カスタマイズに適したオープンウェイトの基盤を提供します。
性能面では、Inklingは中国のオープンウェイトモデルと競合すると評価されています。このリリースにより、米国のオープンウェイトエコシステムは、NVIDIA NemotronやGemma 4に加わる新たな有力候補を得たことになります。
Inklingのマルチモーダル能力の例として、著者は同モデルを使用して自転車に乗るペリカンのSVG画像を生成し、さらにその画像を詳細に説明させました。モデルが生成した画像は(モデル自身が「コウノトリまたはカモメ」と認識したように)完璧ではありませんでしたが、その説明は非常に詳細で、白い鳥、自転車、空、雲、太陽、緑の丘などが描かれた、陽気でシンプルなベクターイラストであることが示されました。これは、Inklingのマルチモーダルな理解と生成能力を示しています。
全体として、Inklingのリリースは、特にカスタマイズとファインチューニングに焦点を当てたオープンソースAIコミュニティに興味深い選択肢を提供します。ただし、トレーニングデータの透明性に関する課題は、今後の改善点として注目されます。