FanaticsとOpenAIは、ファンの体験を改善するために協力している。その取り組みの一環として、FanaticsはOpenAIの技術を活用した新しい「Shop the Look」を公開した。AIモデルが組み合わせの良い商品を提案し、ファンが試合観戦向けの服装を完成させるのを支援する。
Fanaticsは世界的なデジタルスポーツプラットフォームであり、Fanatics Corporate、Commerce、Collectibles、Betting and Gamingの各部門でChatGPT WorkとCodexを利用している。新しいShop the Lookは現在、Fanatics.comをはじめ、NFL、NBA、MLB、NHLの公式オンラインストアなど、Fanaticsネットワークの多くのサイトで稼働している。
仕組みはシンプルだ。ファンがお気に入りのチームのユニフォームを閲覧すると、商品ページ上でShop the Lookがコーディネート一式を提案する。提案されるのは、そのチームと想定されるスタイルに合い、かつ在庫のある商品だ。これによりファンは、目当ての商品に合わせる服やグッズを自分で探し回る手間を省ける。
レコメンドの裏側では、OpenAIのモデルが拡充された商品データ、チーム情報、在庫情報を組み合わせて提案を組み立てている。さらにFanaticsのマーチャンダイジングルールが、選ばれる商品の組み合わせに矛盾がなく、関連性が保たれるようにしている。カタログは常に変化するため、コーディネートは毎日更新される。
開発面では、OpenAIとFanaticsのエンジニアリングチームがCodexを活用し、商品やカタログのデータを拡充するための専用ツール、組み合わせ可能な商品の探索、レコメンドの評価、各商品のコーディネート生成を素早く構築した。これにより、アイデアの検証にかかる時間が大幅に短縮された。
テストの速さも特筆すべき点だ。新しいアプローチで50商品を試すのに要した時間は24時間未満だった。Fanaticsは生成されたコーディネートを確認し、開発者に直接フィードバックを返した。約2日間の反復を経て、同社は同じ週のうちに最小実行可能製品(MVP)を承認した。OpenAIはソリューションの設計を支援し、Fanaticsが新しいShop the Lookを本番環境に導入して、数千点の商品に展開できるようにした。
成果も明確である。約3万点のMLB商品でレコメンドをテストしたところ、OpenAIを活用したShop the Lookは、以前の体験と比べて10%高いエンゲージメントを記録した。ファンの購買体験を軸とする小売プラットフォームにとって、これは提案内容がより的確になり、ユーザーの関与をより引き出せていることを意味する。
広い視点で見れば、この事例はAIによるECレコメンドの実装経路を示している。データの拡充を土台に、業務ルールで制約をかけ、短期間のプロトタイプとテストで効果を検証するという流れだ。Fanaticsが秋のスポーツシーズンに合わせてこの機能を公開したことは、こうしたAI機能が実験段階から消費者向けの正式製品へと移行しつつあることを示している。