軟体ロボットのモデリングでは、Cosseratロッドモデルが広く用いられてきた。従来の定式化では、断面剛性を同一断面上の材料特性の総和として構築する。しかし、トリムドヘリコイドアームでは、この仮定が成り立たない。この構造は、荷重を支える複数のヘリックス領域が分離しており、疎な融合交点によってのみ接続されている。そのため、連続体としての断面合算では、実際の荷重伝達を正確に表現できない。
本研究は、この問題に対して分離断面構成則を提案する。各ヘリックス領域をその局所座標系で評価し、得られた構成応答をバックボーンへ引き戻すことで、有効なバックボーン剛性を導出する。さらに、隣接領域間の相対運動が生む追加のコンプライアンスを、疎融合力学としてモデル化する。この相対運動は連続体仮定では捉えにくいが、チャネルごとの低減プロファイル η_c(s/L) により、曲げ・ねじり・伸長への影響を定量化できる。
その結果、有効断面剛性は強い異方性を示す。曲げと伸長の剛性は約1桁低下する一方、ねじり剛性は有効バックボーン剛性に近い値を保つ。つまり、このアームは曲げ・伸長方向には柔らかく、ねじり方向には比較的硬いという特徴を持つ。この異方性は、軟体アームの形状制御や運動計画において重要な意味を持つ。
著者らは、この断面構成則を幾何学的厳密動的Cosseratモデルに埋め込み、GVS離散化とルーテッド腱駆動を採用した。検証では103の計測構成を用い、3つのデータセットで正規化位置誤差はそれぞれ7.7%、6.7%、7.8%であった。全腕求解は単一CPUコア(Intel Xeon Cascade Lake、2.8 GHz)で約0.3秒である。
この計算速度により、モデルベースの迅速な計画、状態推定、負荷推定が可能になる。また、アーキテクチャ化された軟体ロボットの形態-制御共同設計にも応用できると著者らは述べている。論文はZhihang Qin氏ら12名の著者により、2026年9月21日にarXivへ投稿され、ロボティクス(cs.RO)分野に分類されている。