arXiv は 2026 年 10 月 21 日(水)15:47:56 UTC に、論文「AI Mindmeld: A Latent Interconnect Protocol(AI マインドメルド:潜在的相互接続プロトコル)」を収録した(1,304 KB)。著者は Siavash Golkar ほか 2 名、識別子は arXiv:2610.30215v1、主分類は機械学習(cs.LG)、交叉分類は生体分子(q-bio.BM)と統計的機械学習(stat.ML)。DOI は https://doi.org/10.48550/arXiv.2610.30215 で、DataCite による登録は保留中である。
本論文の出発点は、LLM がツールを用いて専門家に問い合わせたり実験を実行したりする科学エージェントとして機能できる一方、専門家の情報はテキスト・画像・音声・動画といった形式でコンテキストに入力される必要があり、豊かで高次元な表現を持つモデル間のボトルネックになっているという認識である。著者らは、直接的な表現交換、すなわち「マインドメルド」を提唱する。これは単一の結果ではなく多数の属性を伝えるもので、LLM 自身が要求しようとは思わない情報まで含み得る。著者はこの仕組みに三つの要件を課す。すなわち、新しい専門家モデルへ拡張可能であること、多様な問いやタスクに柔軟に対応できること、そして独立に接続された複数の専門家をまたいで、共同訓練なしに組み合わせ可能(compositional)であることである。
これを実現するため、著者らは潜在的相互接続プロトコル(Latent Interconnect Protocol、LIP)を提案する。LIP は専門家の表現を LLM の内部状態へ写像するコネクタを学習するもので、訓練対象はコネクタのみに限定される。学習対象をコネクタに絞ることで、LLM の規模拡大や世代更新があっても実用的であり続ける、と著者は強調する。事前学習済みモデルは一切変更しない。
実験では、3 つのタンパク質専門家と 3 つの低分子専門家を、Gemma 3(40 億・120 億パラメータ)および Kimi K2.6(総パラメータ 1 兆、活性 320 億)に接続した。すべての事前学習済みモデルは凍結している。独立に訓練されたコネクタは、LLM や既存のコネクタを変更することなく有用な情報を提供し、未見の対象についても既知の種類の問いと新しい種類の問いの双方を扱えることを示した。さらに、共同訓練なしでの分野横断タスクへのゼロショット転移も実証している。タスク性能と組み合わせ可能性は一般に LLM の能力が高いほど向上し、とくにゼロショットのタスク転移で顕著な改善が見られた。
著者らは限界も明示している。現在の LLM は専門家表現をネイティブ入力として訓練されていないため、表現へのアクセスが得られても、それを信頼性高く解釈し、統合し、推論に用いることは保証されない。したがって著者らは、専門家モデルの開発者に一貫した表現インターフェースの提供を求め、とくに LLM 開発者に対しては、こうした入力を受け取り、組み合わせ、推論できるようモデルを訓練することを強く呼びかけている。これらの取り組みは、従来ツールの柔軟性を保ちつつ、科学エージェントが扱える情報を拡大し得るという。データ、事前学習済みコネクタ、および訓練・評価・対話的推論のコードは https://github.com/PolymathicAI/AI-Mindmeld で公開されている。