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Anthropicが突然Fable 5とMythos 5を全世界で利用停止にした理由

米国政府が国家安全保障を理由に輸出指令を出し、AnthropicはClaude Fable 5とMythos 5を全世界で無効化した。Anthropicはこの指令に異議を唱え、限定的で普遍的なジェイルブレイクではないと主張し、早期の復旧に向けて交渉中。

ソースZDNet AI

ZDNetの報道によると、AnthropicはClaude Fable 5とMythos 5のモデルを全世界で利用停止にした。米国東部時間金曜午後5時12分時点で、これらのモデルは米国内・外を問わず誰もアクセスできなくなっている。他のClaudeモデルは引き続き利用可能。

この措置は米国政府の輸出指令に基づく。Anthropicの声明によれば、米国政府は「国家安全保障権限」を根拠に、米国内外の外国人(同社の外国人従業員を含む)によるアクセスを禁止するよう要求した。外国人ユーザーのみを制限することが技術的に不可能だったため、Anthropicは全ユーザーに対してFable 5とMythos 5を無効化した。

Claude CodeセッションでFable 5を選択すると、「Claude Fable 5は現在利用できません」と表示され、「選択したモデルに問題があります。存在しないか、アクセス権がない可能性があります」と説明される。

Anthropicは当初、政府の要求を「指令」と呼んでいたが、後に「国家安全保障上の懸念の詳細を明らかにしない書簡」と表現を修正。同社は慎重な表現で、「政府はFable 5をバイパス(ジェイルブレイク)する方法を認識したと考えている」と述べている。しかし、実際に提示されたのは「少数の既知の軽微な脆弱性」を特定する「特定の技術」のデモだったと説明。これらの脆弱性は「比較的単純」であり、「他の公開モデルでもバイパスを必要とせず発見できる」と主張している。

Anthropicは自社の安全対策を改めて強調し、「これまでのところ、テスターは誰も普遍的なジェイルブレイクを発見できていない」と述べる一方で、「完璧なジェイルブレイク耐性は現在どのモデルプロバイダーにも不可能」と認めている。業界全体で、非普遍的なジェイルブレイクは避けられず、将来的には普遍的なジェイルブレイクも発見される可能性が高いとしている。

ジェイルブレイクの具体的な内容について、Anthropicは政府から「潜在的な狭い非普遍的なジェイルブレイク」の口頭証拠のみを得ていると説明。このジェイルブレイクは、モデルに「特定のコードベースを読み込み、ソフトウェアの欠陥を修正する」よう指示するものだという。同社は政府の根拠となった報告書を検証したが、その能力がFable 5やMythos 5に固有のものではなく、OpenAIのGPT-5.5を含む他のモデルでも利用可能であり、「防御側がシステムを安全に保つために日常的に使用している」と反論した。

背景として、David Sacks氏は政府がAnthropicにジェイルブレイクの修正かモデル停止を要求したが、CEOのDario Amodeiが拒否したとXで投稿。Politicoは、Amazon CEOのAndy Jassyが最初に問題をホワイトハウスに報告し、輸出規制の発動につながったと報じた。一方、The VergeはAmazon自身のセキュリティ研究が動機だったと伝えている。ウォール・ストリート・ジャーナルはAmazonが商務省にジェイルブレイクの調査結果を提出し、同省が禁止令を発したと報道。Axiosは商務省が金曜日にAnthropicに約90分の猶予を与え、正式な規制書簡は午後5時30分に送付されたと伝えている。The Informationは、米政府当局者がホワイトハウスが他のAI企業に規制を拡大する可能性は低いと述べたと報じた。

また、米戦争省長官Pete HegsethはXで「3ヶ月前、戦争省はAnthropicを永久に建物から追い出した。日を追うごとにそれが正しい判断だったことが証明されている」と発言。戦争省最高情報責任者Kirsten Daviesは「国家安全保障と戦闘員の安全を最優先する大統領と長官を全面的に支援する。収益サイクルやクリックベイト、IPO前評価額よりも重要なことがある」と述べた。

Axiosによると、Anthropicの上級技術スタッフがワシントンに派遣され、ホワイトハウスとの対面協議を開始。これまでのほとんどはバーチャル会議だったが、現在は実地での作業セッションに移行している。

Anthropicは「政府は透明で公平、明確かつ技術的事実に基づく法定プロセスの一部として、安全でない展開を阻止する能力を持つべきだ」としつつ、「限定的な潜在的ジェイルブレイクの発見が、何億人ものユーザーに展開された商用モデルのリコール理由になるべきではない」と異議を表明。もし同様の対応が業界全体に適用されれば、すべてのフロンティアモデルプロバイダーの新モデル展開に冷却効果をもたらすと警告した。

最後に、混乱を謝罪し「これは誤解であり、できるだけ早くアクセスを回復するために取り組んでいる」と述べている。

今回の出来事は、AIの軍事転用可能性という国家安全保障上の懸念を浮き彫りにすると同時に、Anthropicにとっては逆説的なマーケティング効果をもたらした。ホワイトハウスが自社製品を「強力すぎて手に負えない」と認定したことで、Claude FableとMythosの実力が証明された形だ。Anthropicが政府との協議を経てFableの復活に成功すれば、同社の市場での立場はさらに強固になるだろう。