野生環境で撮影された単一人物画像からの体重と身長の推定
本研究では、日常的な1枚の画像からBMI、体重、身長を推定する深層ニューラルネットワークを提案する。多様な6105枚の画像からなる新しいデータセットを作成し、RGB、深度マップ、姿勢親和マップ、エッジマップなどのマルチモーダル入力を評価。実験により、全身画像が半身や顔画像よりも優れた推定精度を示した。
Hira Yaseen氏らの研究チームは、arXivに投稿した論文「Weight and Height Estimation from a Single Human Image Captured in the Wild」において、野生環境で撮影された単一の人物画像から体重、身長、および体格指数(BMI)を自動的に推定する手法を提案した。BMIは健康状態を示す重要な指標であり、疾患リスクや寿命の予測に役立つ。しかし、野外画像では姿勢、カメラジオメトリ、外観、背景の変動が大きく、自動推定は難しい課題である。
研究チームは、ソーシャルネットワーキングサイトから収集した6105枚の画像からなる新しいデータセットを構築した。このデータセットには実際の体重、身長、BMIのラベルが付与されており、多様な民族、年齢層、性別をカバーする。正面、背面、全身、半身、横向き、鏡の自撮りなど様々なポーズを含み、背景やスケールの変化に富み、顔の一部や全体を隠すアーティファクトも含まれている。BMI推定用の全身画像データセットとしては初めて公開されたものである。データセットの内訳は女性約40%、男性約60%、年齢は18歳から65歳まで、人種は白人、アジア人、アフリカ人などを含む。画像は主にソーシャルメディア上の公開写真から取得され、匿名化処理が施され、様々な照明条件や撮影角度が含まれている。
手法としては、単一タスクおよびマルチタスク学習の深層ニューラルネットワークを用い、RGB画像、深度マップ、姿勢親和マップ、エッジマップの複数のモダリティを入力として使用した。VGG16、DenseNet121、ResNet50などの異なるCNNバックボーンを用いて、全身、半身、顔画像について広範な実験を実施。その結果、全身画像が半身や顔画像よりもBMI、体重、身長の予測において優れており、特にBMI推定では平均絶対誤差が大幅に低減された。具体的には、全身画像を用いた場合のBMI推定の二乗平均平方根誤差(RMSE)は半身画像より約20%、顔画像より40%以上低かった。マルチタスク学習は単一タスクより優れ、複数モダリティの組み合わせによりさらに性能が向上した。例えば、RGB、深度マップ、姿勢親和マップの組み合わせが最良の結果をもたらした。
この研究は健康モニタリングへの応用が期待される。日常画像から自動的にBMIを推定できれば、遠隔医療や自己定量化アプリケーションに有用である。データセットは公開されており、関連研究の促進が期待される。論文は2026年7月28日に提出され、コンピュータビジョン、人工知能、機械学習の分野に属する。研究者らはデータセットの規模や画質のばらつきなどの限界も指摘しており、今後の課題としてデータセットの拡張とより複雑なモデルの探索を挙げている。