AIを本来あるべき用途に使う
著者は、思考を代替するのではなく加速するためのAI活用経験(旅行計画、動画検索、言語学習、ソフトウェア開発)を共有し、AIのエチケット、道徳性、社会的リスクについて考察する。
近年、人工知能をめぐる議論が活発化し、支持者と反対者が対立している。本稿の著者はその中間に位置し、AIの危険性を認識しつつも、人間の生活を大いに豊かにする可能性があると考える。著者の核心的な観察は、「ほとんどの人はAIを思考の代替として使い、加速のために使っていない」という点だ。本稿は後者(加速)のためのインスピレーションを提供し、前者(代替)を減らすことを目的とする。
著者は職場と個人でClaude(有料サブスクリプション)を使用しており、この背景が事例の理解に重要だと述べている。
ユースケース1:検索 AIは複雑な質問への回答に優れている。著者は現在、基本的なこと(ウィキペディアやドキュメント検索)にしかGoogleを使わず、複雑なクエリにはClaudeのリサーチ機能を活用している。
- 休暇計画:復活祭に、AIを使ってワッハウ渓谷への日帰り旅行を計画した。手動では2~3時間かかる作業が、AIのおかげで1時間以内に完璧な旅程が完成した。
- 長年探していた動画の発見:10年以上前に見た『ストリートファイター』プロデューサーのインタビュー動画を探していた。YouTubeになく、Vimeoに埋め込まれていた。Google、Bing、ChatGPT、Claude、Perplexityなどあらゆる手段を試したが失敗。2ヶ月前、Claude Opus 4.6のリサーチ機能でついに発見した。
ユースケース2:言語学習 著者の母語はハンガリー語、英語はB2~C1レベル、ドイツ語を学習中(A2レベル)。
- 上級英語:Claudeに「English Grammar Coach」プロジェクトを作成。テキストを送るとエラーをマークし、ハンガリー語の文法観点から説明するが、修正版は直接提供しない。ユーザーが手動で修正することで学習効果を高める。
- 初級ドイツ語:「Deutschlehrer」プロジェクトでは、エラーの場所だけをマークし、内容は教えない。ユーザーが自力で修正を試み、行き詰まった場合のみ解決策を開示。すべての宿題をこの方法で書き、最終的に人間の教師がチェックする。
ユースケース3:ソフトウェア開発 著者は10年以上の経験を持つソフトウェアエンジニアだが、現在は営業職のため、業務では簡単なデモやCRUDアプリにしかAIを使わない。個人でのコーディングは趣味と実用の両方だが、趣味にはAIを使わず、実用的なスクリプトにのみ利用。Claude Opus 4.5以降、LLMはこのような雑務に十分な能力があると評価している。
関連する考察
- AIエチケット:AIが生成したテキストを送ることは、対面でスマホをいじるのと同じくらい失礼だと著者は考え、自分で書いていないコミュニケーションには価値を見出さない。
- 道徳性:AIの環境負荷を認識しつつも、自身が工場畜産肉を食べ、飛行機に乗り、Amazonで買い物をするなど妥協をしているため、AIだけを問題視しない。
- リスクと懸念:最大の懸念は社会的影響——人々がAIの能力限界を理解せずに誤用し、危害を及ぼすこと。
- AIは人間を置き換えるか?:著者はAGIがいつか実現すると確信しているが、それが自分の生きているうちか、大規模言語モデルに基づくかは不明。ブランドン・サンダーソンの言葉を引用し、AIがいかに人間の創造性を模倣しようとも、人間の独自性が重要だと論じる。