arXivに新たな論文が公開され、完全にGPU上で動作する微分可能なモデル予測制御(MPC)ソルバー「TurboMPC」が発表された。ロボティクス分野では、並列シミュレーション、大規模学習、ニューラルネットワーク推論にGPUへの依存が高まっている。MPCがこのパラダイムに沿ってスケールするには、ソルバーがGPU上で効率的に動作し、高速かつ微分可能であり、ロボティクスで使われる表現力豊かなMPC定式化と互換性を持つ必要がある。
TurboMPCの設計は複数の数値最適化技術を組み合わせている。外側の枠組みとして逐次二次計画法(SQP)を用い、内側ソルバーとして交互方向乗数法(ADMM)を採用し、微分可能性を実現するために暗黙的微分を利用する。実装面ではJAX-CUDAの協調設計により、効率性と使いやすさを両立している。このソルバーは状態および制御の不等式制約、暗黙的積分器、時間横断的に結合されたコスト関数、スラック変数をサポートしており、これらはロボティクスタスクにおける現実的な制約や複雑なコストを表現する上で不可欠な機能である。
シミュレーション検証では、制約付き計画、ヒューマノイドの模倣学習、ニューラルネットワークコスト関数を用いた強化学習の3つのタスクにTurboMPCを適用した。その結果、最先端のCPU微分可能ソルバーと比較して最大15倍、最先端のGPU微分可能ソルバーと比較して最大58倍の高速化を達成した。これらの高速化は単一の求解だけでなく、大量のバッチ求解を必要とする学習や最適化のパイプライン全体で発揮される。
シミュレーションに加えて、研究チームはTurboMPCを実車の最短時間レースに展開した。GPU加速されたバッチベイズ最適化を用いてMPCパラメータを調整することで、手動調整のベースラインよりも大幅に高速な走行が可能になることを発見した。また、TurboMPCは優れたスケーラビリティを示し、8000ノットを超える計画ホライズンでも車両の制御を維持できる。この規模は、多くの従来型MPCソルバーがリアルタイムで処理できるホライズン長をはるかに超えている。
著者らはTurboMPCをオープンソース化し、コードはToyota Research InstituteのGitHubリポジトリ(https://github.com/ToyotaResearchInstitute/turbompc)で公開されている。論文は2026年6月23日に投稿され、ロボティクス(cs.RO)に分類されており、arXiv番号は2606.24039である。この研究は、ハードウェアとソフトウェアの協調設計により、微分可能MPCソルバーがGPU上で前例のない速度と規模を実現できることを示し、ロボティクスの学習と制御の統合に向けた新たな基盤を提供するものである。