携帯バッテリーや充電器、NASストレージで知られるUgreenが、スマートホーム分野に大きく参入する。今週開催のIFAで、防犯カメラの映像保存、オンデバイスAI、スマートホーム制御を1つのシステムにまとめた「HomeAgent」プラットフォームを発表した。音声アシスタント「Uliya」で操作し、すべてをローカルで動作させるとしている。
HomeAgentの中核となるハブは、スマートホームの“頭脳”として機能し、ローカルファーストのAIを搭載。Uliyaを通じて自然言語で操作できる。ハブは3つの構成があり、いずれもすべてのデータをローカル保存し、カメラ映像をデバイス上で処理する。データは家の中に留まり、月額利用料は不要になる一方、初期費用は高くなる可能性が高い。
最大の売りは、データを自宅から出さずに済むことだ。これにより、プライバシーへの懸念と定額課金という2つのスマートホームの悩みに対処する。内蔵AIは、カメラ間の追跡、人・車両・ペット・荷物のスマート通知に対応し、「今、ペットはどこにいる?」といった現在の状況に関する質問に答える。AI映像検索やイベントのテキスト説明、自然言語によるスマートホーム機器やオートメーションの音声操作も可能だ。カメラ映像に加えて、NASのように音楽、映画、写真などの個人ファイルも保存できる。
月額の映像保存料金がかからない点は、AmazonのRingやAlexa、GoogleのNestカメラやGemini for Homeなど一般的なクラウドサービスと異なる。ただし、正式な小売価格は未発表で、10月にKickstarterで早割価格により発売される予定。
ローカルで処理するスマートホームハブのアイデアは急速に広がっており、SwitchBot、Reolink、Aqaraなどもこの分野に進出。AnkerもIFAで同様の製品「Eufy MindBase」を発表した。両システムとも、異なるブランドのスマートホーム機器を接続するためMatter標準を採用している。Ugreenのブースでのハンズオンデモでは、HomeAgentハブ越しにUliyaへ音声コマンドを送り、Nanoleafの照明とスマートブラインドを操作できた。
HomeAgentハブはMatterコントローラーであり、Wi-Fi、Zigbee、Thread、Bluetooth、NFC、ONVIF/RTSP、PoEを介したサードパーティ製デバイスをサポートする。Ugreenは対応機器リストを公開するとしているが、現在はまだ小さく、Aqara、ThirdReality、SwitchBot、Eveの各社製品が含まれる。理論上はMatter対応機器なら動作するはずだが、第1段階でサポートされるのは照明、スイッチ、センサー、カーテンのみ。同社は認定済みの製品を使うよう推奨している。
関連製品として、Uliyaを搭載したスマートスピーカーや、セキュリティカメラのSynCare Indoor Cam ID500 Pro、SynCare POE Cam OD600 Pro、バッテリー駆動のSynCare Cam OD800 Proも発表。Ugreenの新しいE Ink Spectra対応デジタルフォトフレームとも連携し、ハブに保存した写真をクラウドに送らずに表示できる。
3つのハブは、処理能力に応じて機能が異なる。HomeAgent HA100は基本的なルールベースの自動化と特定の音声コマンドに対応。HA100 Proは意味の理解と前後関係を考慮した応答が可能で、最上位のMasterAgent MA100はNVIDIA Jetson Thor T5000プラットフォームによって最高レベルのローカル演算処理を実現する。
なお、HomeAgentでほぼすべてをローカル実行できる一方、プッシュ通知や防犯カメラ映像のリモート視聴にはインターネット接続が必要。Uliya音声アシスタントをクラウド経由で利用するオプションもある。自宅にすべてのデータを置きつつ、AIによるスマートホーム管理の利便性を享受するというアイデアは魅力的だ。HomeAgentが成功するかどうかは、既存のデバイスとの統合の良さと、セットアップや操作性の分かりやすさにかかっていると言える。