RoboTales は、表情豊かなソックパペットを用いて物語を演じる低コストのロボット絵本読み聞かせシステムである。本論文は arXiv(2606.26213)に 2026 年 6 月 24 日付で投稿され、Andrew Chen 氏ら 4 名による成果で、第 21 回 ACM/IEEE 人型ロボット国際会議(HRI 2026)の学生デザインチャレンジ併設論文集に採録された。本文は 4 ページ、図 4 点の構成である。
実装面では、研究チームは Baxter ロボットをテストケースとして RoboTales を自律的に動作させた。システムはナレーション、ジェスチャー、口の動きを同期させ、キャラクター主導の物語を上演する。この同期が、パペットが「語り」「演じる」ように見えるための鍵であり、ロボットを単なる再生装置ではなく、身体表現を持つ語りの主体へと変える仕組みである。
効果を確かめるため、チームはパペット方式の絵本読み聞かせと、ジェスチャーのみの方式を比較するパイロット研究を実施した。その結果、パペット方式は HRIES 評価が高く、物語の想起も良好であった。研究者はこれにより、身体性を伴うパペット演技が関与を高め、物語理解を促すと結論づけている。身体表現が単なる装飾ではなく、人とロボットの相互作用において実質的な役割を果たすことを示す知見である。
設計思想として、RoboTales はモジュール性とプラットフォーム非依存を重視しており、Baxter に限らず他のマニピュレータにも適応できる。また、受動的なメディア消費に対抗するスクリーンレスの代替手段として位置づけられ、子ども中心の学習環境への将来的な展開を支えるものとされている。子ども向け教育・見守りロボティクスの分野にとって、低コストで再現性のある技術的道筋を提示するものである。
ただし、現時点の結論は小規模なパイロット研究に基づくもので、被験者数や実験状況は限られている。その効果がより大規模かつ長期間の利用でも維持されるかは今後の検証課題である。加えて、パペット演技の動作品質、物語内容の構成方法、異なるロボットプラットフォームへの移植コストも、今後の研究で検討すべき点として挙げられる。