自動縫合は手術ロボットにおける重要な機能の一つであり、縫合針のピックアップはその不可欠な工程である。実際の手術では、針が予期せず落下したり、把持姿勢を調整するために意図的に解放されることがある。しかし、現在の自動針ピックアップ手法は通常、ロボットを針に向かって直進させて把持する方式であり、針が観察可能で直接接近できる条件に限定されている。さらに、組織上にある針を直接把持すると、ロボットが近くの組織を挟み込んだり、針の滑りやすい表面のために針が跳ね上がるという安全上の問題が生じる可能性がある。
本研究では、縫合糸を補助ツールとして活用し、間接的に針をピックアップする新しい自動フレームワークを提案する。このアプローチにより、不必要な道具と組織の接触を回避でき、針が遮蔽されたり接近不可能な状況でもピックアップが可能となる。フレームワークは全工程を網羅しており、具体的には、糸と組織の三次元再構築、安全な把持点の選択、安定した糸の引き上げ、そして針を確実に把持するまでの両腕による糸追跡から構成される。ロボットの制御ポリシーは視覚的不確実性を考慮して設計され、実環境でのロバスト性を最大化している。
提案フレームワークはda Vinci Research Kitを用いて様々な実環境条件下で評価された。実験では、複雑な糸の配置や接近不可能な針など困難なシナリオが含まれており、その結果、本手法は高いロバスト性を示し、非構造化縫合環境への自動ロボットポリシーの適用におけるギャップを埋めることに成功した。本研究成果はIROS 2026に採択されており、今後の手術ロボットの自律化への貢献が期待される。