PRISM:非構造環境におけるローバー航法のためのマルチモーダル地形マッピング
PRISMは、熱画像・光学カメラ・深度センサを融合し、新しいビジョントランスフォーマーネットワークOmniUnetを用いて非構造環境の地形セグメンテーションと走行可能マップを生成するシステムです。2つの新しいデータセットで検証され、組み込みコンピュータ上で自律航法を実現します。
非構造環境でのロボット航法には、急斜面や岩場などの危険を安全に回避するための高度な状況認識が求められます。従来の可視光カメラは照明条件に脆弱であり、熱画像は物体の温度差を捉えることで地形識別のロバスト性を向上させます。本論文で提案するPRISMは、この課題に対処するため、カスタムセンサスイートを用いてRGB、深度、熱(RGB-D-T)画像を同時に取得します。
中核技術であるOmniUnetは、ビジョントランスフォーマーに基づく新しいマルチモーダルセマンティックセグメンテーションネットワークです。エンコーダー・デコーダー構造に自己注意機構を組み込み、異なるモダリティの特徴を効果的に融合し、砂地、草地、岩石などの地形クラスを高精度に分類します。
研究者らは、新たにアノテーションされたBASEPRODおよびLAENTIECデータセットを用いて評価を実施しました。単一モーダル手法と比較して、PRISMは特に低照度環境での分割精度が大幅に向上しました。さらに、NVIDIA Jetsonなどのリソース制約のある組み込みコンピュータ上でリアルタイム動作し、走行可能マップを生成。このマップはローバーの誘導・航法・制御(GNC)サブシステムに直接入力され、完全自律航法を実現します。
PRISMのモジュール設計は、火星探査ローバーや災害対応ロボットなど様々なプラットフォームへの適用が可能です。今後の課題として、動的環境への適応やセンサ劣化時のロバスト性向上が挙げられます。研究チームはデータセットとコードを公開し、非構造環境航法の研究を促進しています。