MiniMax、オムニモーダル動画モデル「MiniMax H3」を公開——ネイティブステレオ音声付き15秒2Kクリップを生成
MiniMaxは、テキスト・画像・動画・音声の参照から、ネイティブステレオ音声付きの4〜15秒・2K動画を生成する汎用マルチモーダルモデル「MiniMax H3」を公開した。APIとHailuo AIで利用可能で、オープンウェイトは未公開。初期ベンチマークでは動画編集で首位。
MiniMaxは2026年7月31日、汎用マルチモーダル生成モデル「MiniMax H3」を正式に公開した。同社はH3を「テキストから動画を生成するモデルに機能を追加したもの」ではなく、テキスト・画像・動画・音声を単一のコンテキストとして読み取り、ネイティブなステレオ音声付きの動画を返す汎用マルチモーダル生成モデルだと説明する。主な仕様は2K出力、4〜15秒、整数秒のみの長さ指定。
従来の動画生成スタックは、テキストから動画、画像から動画、先頭・末尾フレーム指定、被写体参照、モーション参照、動画編集などを個別の専門モデルとして構成するのが一般的だった。H3はこれらを1つの事前学習パラダイムに統合し、参照や編集の関係を自然言語で表現する。例えば「動画1のカメラワークを参考に、画像2のキャラクターに歌わせ、音声3にボーカルを合わせる」といったプロンプトが可能だ。
デプロイに関しては、現時点ではAPI経由でのみ利用でき、自前ハードウェアでの実行はできない。H3は2026年7月31日にAPIでモデルID「MiniMax-H3」として公開され、コンシューマー向けアプリ「Hailuo AI」にも搭載された。対象業界は広告、ブランディング、EC、プロダクトデザイン、UI/UX、ゲーム、映画のプレビジュアライゼーション、小売カタログメディア。用途として、広告バリエーション生成、商品・リスティング動画、アニメーションポスター、映画のタイトルシーケンス、Webサイトのヒーローループ、キャラクターの一貫性を保つゲームシネマティック、動画から動画へのモーショントランスファーなどが挙げられている。
APIは「テキストから動画」「先頭・末尾フレームによる画像から動画」「参照生成」の3つのエントリーモードを備え、単一エンドポイントの非同期3ステップ(タスク作成、task_idのポーリング、content.urlのダウンロード)で動作する。入力制限は、参照画像が最大9枚、参照動画が最大3本(各2〜15秒、合計15秒以内)、参照音声が最大3本(音声のみの送信は不可、画像または動画と併用が必要)。混在入力は合計12ファイルまで。プロンプトは7000文字以下、リクエストボディは64MB以下で、大容量アセットはURL入力を推奨。ファイルサイズは動画50MB、画像30MB、音声15MB。対応形式は動画がH.264/H.265、画像がJPG/PNG/WEBP/HEIC/HEIF、音声がWAV/MP3。
技術面では、4つの主要コンポーネントが挙げられる。1つ目は「Contextual Omni Representation」で、字幕生成を再設計し、対象動画だけでなく「コンテキストと対象動画の関係」を記述する。ほとんどの素材で約10万トークンの推論が必要だったところを、平均約4000トークンまで蒸留する。2つ目は「H3-VAE」で、トークナイザーを刷新し、高い圧縮率により実効シーケンス長を約4倍に拡大。トレーニングと推論のコストを削減し、ネイティブ2Kを可能にした。3つ目は「H3-Omni Transformer」で、Hailuo-02アーキテクチャを意図的に廃止。マルチモーダルコンテキストによってシーケンス長のばらつきが最大3倍になったため、理解と生成のワークロードを分離し、それぞれにハードウェア利用を最適化。エンドツーエンドのトレーニングスループットは約30%向上したという。4つ目は「In-Context Regeneration」で、外付けの超解像モジュールではなく、ベースモデルが自身の低解像度出力を元のマルチモーダルコンテキストを再読しながら再生成する。従来の超解像では推測になりがちな小さなテキストや細部を復元できる点が、ブランドや商品の描画に特に重要だとしている。
価格と評価について、MiniMaxは2Kでは1秒あたりの価格が主流モデルの3分の1未満、768pでは主流720pモデルの半分以下と主張する。第三者トラッカーやローンチ報道では、2Kの従量課金は1秒あたり0.13ドル、15秒で約1.95ドルとされている。ただし、執筆時点のMiniMax公式の従量課金ページにはHailuo 2.3のプランしか表示されておらず、この数字はあくまで報道値として扱うべきだ。SCMPがArtificial Analysisを引用したところによると、H3は動画編集で首位だが、テキストから動画ではGoogleのGemini Omni Flashに後れを取り、画像から動画ではSeedance 2.0とGemini Omni Flashの後塵を拝している。
オープンウェイトは「近日公開」と約束されているものの、現時点では未公開であり、APIが唯一の利用経路だ。H3-VAEの4倍の実効シーケンス長はネイティブ2Kを経済的に成立させ、In-Context Regenerationは小さな文字やブランドロゴの再現に貢献する。