arXiv は2026年6月21日、Ian T. Vidamour氏を筆頭に計15名の著者によるプレプリント論文「Low-power analogue neural networks with trainable nonlinear connections for continuous control」を公開した。論文番号は arXiv:2606.23742v1 で、主分野は機械学習(cs.LG)、関連分野として人工知能(cs.AI)とハードウェアアーキテクチャ(cs.AR)が挙げられている。投稿者は Eleni Vasilaki 氏である。
著者らは、物理ニューラルネットワークの魅力が、アナログ素子の物理特性をそのまま計算に用いることで低消費電力の機械学習を実現できる点にあると指摘する。しかし従来のほとんどのアーキテクチャでは、素子の非線形応答をスカラー重みとして扱うことに制約があり、非線形性が持つ計算能力を十分に引き出せていなかった。
そこで研究チームは Kolmogorov-Arnold ネットワークに着想を得て、接続上に訓練可能な非線形関数を配置する設計を採用した。これにより各物理接続が単なる重み付き経路ではなく、学習可能な計算要素として機能する。実装上は、これらの関数をフィールドプログラマブルなアナログアレイ上のアナログ帯域通過フィルタとして具現化している。
実験の結果、この手法の利点はタスクに依存し、物理基底関数の滑らかさに由来することが分かった。ロボット運動学、連続制御、太陽光発電の最大電力点追従といった、滑らかで連続値を持つ目標を表すタスクでは、多層パーセプトロン(MLP)よりもはるかに少ないノード数と接続数で同等の表現を実現できる。一方、分類のような決定境界を扱うタスクではパラメータ効率の優位性は見られなかった。
ハードウェア面では、訓練済みネットワークが約35,000接続の実機へ転送可能であることを定量的な忠実度とともに示し、専用 CMOS 実装では約30マイクロワットで動作する見込みを示した。さらに、メモリスタを用いた実装でもシミュレーション上で同じ挙動が再現され、この優位性が特定の素子ではなく接続上に訓練可能な非線形性を置くアーキテクチャ設計に由来することを裏付けている。
なお論文には注意書きも添えられており、これはプレプリントであって全シミュレーションのさらなる検証が進行中であり、生じた修正は改訂版に反映される予定だとしている。論文は2026年6月21日15時55分23秒(UTC)に約13,966KBの規模で投稿され、PDF、実験的HTML、TeXソースなどの形で全文を閲覧できる。