AIが実際のピッチデッキ5つを、送られたその日の状態で評価してみた
Coworkers.Global創業者Charles Stackは、自社AIエージェント「Alex」を使い、Airbnb、Uber、Buffer、Mattermark、Usetraceの実際のピッチデッキを、送られた当時のまま評価しました。Alexは後知恵バイアスを排除し、5点満点中3.02~3.80のスコアを付けました。いずれも明確な「投資適格」とはならなかったものの、全社が資金調達に成功。違いは調達額ではなく、市場規模とスケールの可能性にありました。
Coworkers.Globalの創業者Charles Stackは、自社の管理型AIエージェント「Alex」を使って、5つの実際のスタートアップのピッチデッキを評価する実験を行いました。使用されたデッキはAirbnb、Uber、Buffer、Mattermark、そしてあまり知られていないUsetraceのものです。この実験の核心は、Alexがこれらのデッキを「送られたその日の状態」で評価した点にあります。つまり、後から知り得た情報(企業の成功や失敗)を一切排除し、当時の内容だけに基づいて採点しました。
結果は、5点満点中3.02から3.80の範囲に収まりました。Airbnbの2008年のシードデッキは3.80で、かろうじて「弱いイエス」という評価。市場機会を類推で示した点が減点されました。Uberの2008年のデッキは3.61で、トラクションは皆無でしたが、問題の定義と「なぜ今なのか」のタイミング論が高く評価されました。Bufferの2011年のデッキは3.54で、有料ユーザー800人、年商15万ドルなど素晴らしいデータを持ちながら、ソーシャルスケジューリングという市場の規模ゆえにスケール可能性でフラグが立ちました。Mattermarkは3.31で、投資家は実際には650万ドルのシリーズAを実行しましたが、その後成長軌道を維持できずに買収されました。Usetraceは3.02で、65の有料顧客と月収1.4万ドルという実績はあるものの、市場規模と参入障壁の薄さが課題とされ、後に閉鎖しました。
Stack氏は、これらのスコアはあくまで仮説に基づくものであり、サンプルも5件に過ぎないと慎重に述べています。チームは現在、実際のベンチャーファンドの投資判断とAlexの評価を比較しながら、モデルの調整を進めています。同氏は、種をまく段階のデッキからどの企業が巨人になるかを正確に予測できる者はいないと警鐘を鳴らし、真に価値があるのは、市場の最終的な評価を待たずに、眼前の文書を正直に読み、何が証明され、何が主張であり、どの弱点が致命的になりうるかを見極めることだと結論づけています。これこそが、優れた投資家が最初の10分間で行っている作業に他なりません。