arXiv は 2026 年 6 月 30 日、論文「Hate Speech Detection in Turkish and Arabic Languages: A Comprehensive Study(トルコ語とアラビア語におけるヘイトスピーチ検出:包括的研究)」を公開した。識別子は arXiv:2607.00143v1 で、計算と言語(cs.CL)に分類され、人工知能(cs.AI)にもクロスリストされている。ACM 分類は I.2 および I.2.7。著者は Somaiyeh Dehghan を筆頭に計 6 名で、論文には 11 個の表が含まれる。投稿日時は 2026 年 6 月 30 日 20:20:06 UTC、ソースファイルは約 32 KB である。
研究の出発点は現実の危害にある。著者らは、オンライン上のヘイトスピーチが世界規模で少数派に対する暴力の増加と結びついていると指摘する。その例として大量銃撃、リンチ、民族浄化といった事件が挙げられている。宗教、人種、民族、文化、国籍、あるいは移住資格に基づいて特定の集団が標的にされる社会では、表現の自由を守ることと、広く利用されているオンラインプラットフォーム上で実効的なコンテンツモデレーションを行うことの間でバランスを取るという課題に直面する。本研究はこの課題に応えるものだ。
こうした背景のもと、研究チームは包括的なヘイトスピーチ・データセットを構築した。トルコ語については五つの異なるトピックを扱う。すなわち、難民、イスラエル・パレスチナ紛争、トルコ国内における反ギリシャ感情、民族的・宗教的コミュニティ(アレヴィー派、アルメニア人、アラブ人、ユダヤ人、クルド人)、そして LGBTI+ である。アラビア語については、難民という一つのトピックを対象とする。トピックと標的集団ごとにデータを分ける設計により、単純な二値ラベルでは捉えきれない、文脈ごとのヘイトスピーチの違いを反映できる。
モデル面では、BERT ベースの最先端モデルを開発し、ヘイトスピーチ分析の複数の側面を扱う。具体的には、ヘイトカテゴリの分類、ヘイト強度の予測、標的の識別、そしてヘイトスピーチのスパン検出である。これらを組み合わせることで、あるテキストがヘイトスピーチかどうかを判定するだけでなく、どの種類に属するか、どれほど激しいか、誰を標的にしているか、どの部分がヘイト表現に当たるかを示せるようにし、オンライン言説におけるヘイトコンテンツのより包括的な理解を目指す。
arXiv のページには PDF、実験的な HTML 版、TeX ソース、ライセンス情報へのリンクがあり、DOI(10.48550/arXiv.2607.00143)も示されている。この DOI は DataCite 経由で発行され、登録手続き中である。ページには閲覧コンテキスト、参考文献・引用ツール、コードやデータ、メディアに関連するツールなど、arXiv の標準機能も並ぶ。全体として本研究は、データ資源の構築とマルチタスクなモデリングを結びつけ、ヘイトスピーチ研究において資源が比較的乏しいトルコ語とアラビア語に対して、新たなベンチマークとツールを提供するものといえる。