AIはハウツー系ノンフィクションを殺したのか?
ティム・フェリスは自身のベストセラー書籍の販売データを用いて、ChatGPTの登場以降、実用ノンフィクションの売上が急落していることを示し、大規模言語モデルがアドバイスの主要なインターフェースとして書籍に取って代わりつつあると論じる。この傾向はハウツー動画、ポッドキャスト、オンラインコース、ジャーナリズムにも波及すると警告。反論も提示しつつ、情報提供型コンテンツの市場は縮小し、深い変容体験を提供するものだけが残ると予測する。最終的に、クリエイターは1000人の真のファンに集中すべきだと勧める。
ティム・フェリスは、自身のブログで、AIが実用ノンフィクションの市場を破壊しているという痛切な証拠を提示した。彼の5冊のベストセラー(『週4時間だけ働く』『ボディ・バイブル』など)の印刷販売データによると、2022年から2023年には5%減、2024年には13%減、そして2025年には46%の大幅減となり、2026年はさらに57%の減少ペースで推移している。このままいくと、2022年比で約80%の減少となる。
フェリスは、この急落の主因をChatGPTをはじめとする大規模言語モデルの急速な普及にあると見る。彼は自身の書籍を「ルックアップテーブル」や「決定木」と表現し、肥満、睡眠、筋力増強といった特定の課題に対する答えを提供するものだった。しかし今や、無料のチャットボットがこれらの膨大な情報を読み込み、個人の体重やスケジュール、ケガの状態に合わせた最適なプロトコルを数秒で提示する。
さらにフェリスは、この破壊は本だけにとどまらないと警告する。ハウツー動画、処方的なポッドキャスト、オンラインコース、そして広告や購読に依存するジャーナリズムも同様の運命を辿ると予測する。例えば、「24分の動画から必要な40秒を探すよりも、AIに任せてステップを得る方が速い」と彼は指摘する。また、ピュー研究所の調査によると、83%のアメリカ人は過去1年間にニュースに一切お金を払っておらず、ペイウォールにぶつかった際に購読する人はわずか1%だという。多くの人はAIに要約を求め、満足している。
しかし、フェリスは一つの反論も提示する。彼の本の秘密は「順序」と「個人的なストーリー」にある。例えば、彼が友人たちに20ポンド減量のための箇条書きを送ったところ、誰も実行しなかった。一方、本を読み、著者が設計した道筋をたどった数千人の読者は、100ポンド以上の減量に成功した。つまり、「情報」と「変容」は異なる。
この認識に基づき、フェリスは自身の立ち位置をこう述べる。「私は、1000万人のための短い動画クリップを作るよりも、1万人の人生を真に変える本を書きたい。」そして、クリエイターに対して「1,000人の真のファン」を見つけ、彼らを驚かせ続けるという基本に立ち返るよう勧める。アルゴリズムやクリックベイトの誘惑は強いが、長期的な価値は深い関係を築くことにあるというのが彼の主張だ。
彼は懐疑的に締めくくる。「実用ノンフィクションの死は近い。しかし、変容の市場はより小さく、より奇妙で、より面白くなるかもしれない。私は長編コンテンツのマストに自分を縛り付ける。それが幻想かどうかは時間が教えてくれるだろう。」