近年、拡散ポリシーはロボットの動作生成において、デモンストレーションから多様な動作系列を学習する能力で注目を集めている。しかし、実際の展開時には、衝突チェックや関節制限などの非微分可能な制約に対応する必要があり、従来の手法では微分可能なコスト関数に依存していた。本研究で提案されたGRACE(Gradient-free Robot Action generation via Combined diffusion-MPPI posterior mean Estimation)は、この課題を解決する手法である。
GRACEは、拡散モデルのスコア上昇構造とモデル予測経路積分(MPPI)制御を統合する。各逆拡散ステップにおいて、コスト条件付きガイダンス事後分布を構築し、その平均を拡散逆平均を中心とした単一のMPPI更新で推定する。コストが微分可能な場合、GRACEは一次マッチング共分散近似の下で従来の勾配ガイダンスを再現する。この手法は、前方コスト評価のみを必要とし、勾配計算を不要にする。
実験では、GRACEはシミュレーション環境において、拡散ベースおよびサンプリングベースのベースラインよりも高い成功率を達成した。実機の7自由度マニピュレータを用いた実験では、GRACEは展開時に出現する障害物を回避し、ガイダンスなしの事前ポリシーは毎回衝突した。研究チームはコードと実験動画を公開しており、GRACEはロボットの安全な展開のための柔軟で効果的なソリューションを提供する。
GRACEは、非微分可能な制約を扱える点で従来手法を大きく改善しており、勾配計算の負荷も軽減される。これにより、拡散ポリシーの実ロボット応用が促進されると期待される。今後の研究では、GRACEの計算効率の向上や、より複雑なタスクへの適用が検討されている。