国産GPUが世界を創造!中国初のフルスタック具身知能シミュレーションプラットフォーム登場
摩尔线程(Moore Threads)がMT Lambdaを発表。中国初の完全国産化されたフルスタック具身知能シミュレーションプラットフォームで、物理、レンダリング、AIの3つのエンジンを統合し、シミュレーションから現実への完全なクローズドループを実現。ロボット犬のデモでは、シミュレーションで訓練されたポリシーがそのまま現実世界に転送され、国産GPUによる物理AIインフラの重要なマイルストーンとなった。
中国のGPUメーカー、摩尔线程(Moore Threads)は、同国初の完全国産化されたフルスタック具身知能シミュレーションプラットフォーム「MT Lambda」を発表した。発表イベントでは、シミュレーション環境で完全に訓練されたロボット犬が、実世界で複雑な動作を完璧に再現するデモが行われた。
ロボット犬「小飛」はステージに登場し、スクリーン上のシミュレーション世界で側宙(サイドフリップ)を実行すると、即座に実機が同じ動作を再現。このSim-to-Real転送は性能劣化なく実現され、プラットフォームの能力を如実に示した。
MT Lambdaは、物理AIトレーニングのパイプラインとして設計されている。中核となるのは2つのプラットフォーム:MT Lambda-Lab(強化学習、模倣学習、VLAモデル向けの戦略開発・訓練)とMT Lambda-Sim(高忠実度物理シミュレーションとレンダリングによるシーン構築、センサーシミュレーション、データ生成、検証)である。これらが連携して、データ合成→戦略訓練→シミュレーション検証→エッジ展開のクローズドループを形成する。
プラットフォームは3つのエンジンで支えられている。物理エンジンはMuJoCo-Warp-MUSAや自社開発のAlphaCoreを統合し、典型的な負荷で最大30倍のシミュレーションスループットを実現。レンダリングエンジン「MT Photon」はレイトレーシングとハイブリッドレンダリングを組み合わせ、3DGSやAI生成レンダリングによりフォトリアリスティックな画質を提供。AIエンジンはPyTorchと深く統合されたTorch-MUSAフレームワークを活用し、VLAモデルの開発や強化学習をサポートする。
摩尔线程の差別化要因は、フル機能GPUアプローチにある。専用のTPUやNPUと異なり、フル機能GPUは一つのチップでAI計算、グラフィックスレンダリング、物理シミュレーション、科学計算、ビデオコーデックを同時に処理できる。これは多様なワークロードを必要とする具身知能にとって不可欠であり、MT LambdaはMUSAアーキテクチャを活用してこれらの機能を統合し、開発者が複数のハードウェアやソフトウェアスタックを切り替える必要をなくす。
さらに、摩尔线程はエコシステム全体も整備している。クラウド側では、MTT S5000 GPU(最大1000 TFLOPS、ハードウェアレイトレーシング対応)を搭載したKUAEクラスターが大規模訓練の基盤となる。エッジ側では、長江SoCとE300 AIモジュール(50 TOPS)がロボット本体にリアルタイム推論能力を提供する。智源、光輪智能、小馬智行などの企業とのパートナーシップにより、大規模モデルの訓練から高信頼性シミュレーションデータの生成まで、実際のユースケースで検証が進められている。
MT Lambdaの意義は単なる製品発表にとどまらない。国産GPUメーカーがチップのスペック競争から物理AIインフラの構築へとシフトする転換点を示している。現実的で制御可能かつスケーラブルな訓練世界を効率的に生成するプラットフォームを提供することで、具身知能開発のハードルを下げることを目指す。課題は残るものの、国産ハードウェアだけで具身知能の訓練から展開までを一貫して行える初めてのソリューションとして、ロボティクスや自動運転など物理AIアプリケーションの進展を加速する可能性を秘めている。