Google DeepMind、Gemini 3.8 FlashとGemini 3.8 Flash Cyberをリリース—1つのコアモデルに2つのアクセス境界
Googleは2026年9月2日、Gemini 3.8 FlashとGemini 3.8 Flash Cyberを発表した。両バリアントは同じ基盤インテリジェンスを共有し、モデル規模ではなく安全性の対策によって区別される。3.8 FlashはGemini APIやAI Studioなどで一般提供され、100万トークンあたり0.75ドル/3.75ドルの価格が2026年12月31日まで適用される。Flash CyberはCWE-Benchで47.2%のpass@1を達成する一方、Fairwind Programを通じて審査された防御側のみが利用できる。本稿ではベンチマーク、トークンと精度のトレードオフ、導入条件をまとめる。
Google DeepMindは現地時間2026年9月2日、Gemini 3.8 FlashとGemini 3.8 Flash Cyberを発表した。これはGemini 3.7 Flashのリリースからわずか3週間後で、6週間のうちに3回目となるFlash版だ。両者は同じ基盤となるインテリジェンスを共有しており、再帰的な評価を行う長期型エージェントループによって磨かれている。両者を分けるのはアーキテクチャではなく、安全対策(セーフティエンベロープ)とアクセスを許す相手だ。3.8 Flashは本日からGemini API、Google AI Studio、Antigravity、Android Studio、Gemini Enterpriseで一般提供され、本番トラフィックをすぐに流せる。ただし重みは非公開で、セルフホストやオンプレミスでの利用はできない。一方、Flash Cyberは公開デプロイが一切できず、新設されたFairwind Programを通じて案件単位でアクセスが許可される。
研究チームによると、3.8 Flashは3.7 Flashをベースにしている。仕様は不変で、コンテキストウィンドウは1,048,576トークン、最大出力は65,536トークン。入力はテキスト・画像・音声・動画、出力はテキストだ。思考レベルはLOW/MEDIUM/HIGHのまま、デフォルトはMEDIUMである。移行時に注意すべき点として、3.8 FlashはMINIMALをサポートしておらず、設定するとAPIバリデーションエラーになる。行動面の変化こそが要点だ。Googleは「3.8 Flashはより懸命に働く」と説明し、複雑なタスクでは追加の推論ステップを実行し、ツールを反復的に呼び出す。そのぶん高負荷設定ではトークン消費が増える。開発者向けガイドには、精度向上と引き換えにトークン消費が増えると明記され、計算効率が制約になる場合は3.7 Flashを使い続けるよう勧めている。新しいモデルがすべてのワークロードに最適とは限らないと率直に認める形だ。
性能面では、長期間にわたるソフトウェアエンジニアリングベンチマークDeepSWE v1.1で、3.8 Flashははるかに大きなフロンティアモデルの多くを低コストで上回ったと報告されている。HLE-Verifiedでは54.9%を記録した。Vals Finance Agent V2とHarveyの法務エージェントベンチマークでは、3.7 Flashや他モデルに対する相対的な勝利が示されたが、絶対スコアは公表されていない。
Flash Cyberは防御目的に特化している。標準的な脆弱性発見ベンチマークであるCyberGymでは、フロンティア級の性能を示し、3.5 Flash Cyberや大幅に大きなフロンティアモデルを上回ったとされるが、絶対値は非公表だ。CyberGymはCとC++が中心のため、Googleは20のプログラミング言語にわたる内部ベンチマークも実施し、70%超の発見成功率だったという。パッチ適用では、Collinearが運営するCWE-BenchでFlash Cyberは47.2%のpass@1を達成。比較対象となった主要フロンティアモデルは47.8%だった。Googleはこれを「大幅に低いコストでほぼ同等」と位置づけ、単純なリーダーボード首位ではなくパレート最前線にいるとしている。Chrome Securityは、はるかに大型の商用モデルと比べて正しいパッチが2.6倍多かったと報告。Wizは社内ペネトレーションテストベンチマークで、リコールが7.5〜9.7ポイント高く、コストは2.3〜5.2倍低いと測定した。Google Cloudの脆弱性調査チームは、通常数か月かかる重要な基盤的脆弱性を2時間足らずで発見している。
Googleは、攻撃的なエクスプロイト能力よりも脆弱性修正を優先したと明言する。Flash Cyberにはより寛容なサイバー緩和策が搭載されているため、信頼できる防御側、すなわち政府機関、重要インフラ事業者、ソフトウェア保守者に限定し、Fairwindを通じて申請を受ける。
価格面では、3.8 Flashは3.7 Flashと同じ100万トークンあたり0.75ドル(入力)/3.75ドル(出力)を2026年12月31日まで維持する。Flash Cyberには公開価格表がなく、価格で購入できるものではなく、審査を経てアクセス権が付与される。導入を検討するチームにとっての要点は、精度を最優先しトークン消費の増加を許容できるなら3.8 Flash、計算コストが最優先なら3.7 Flashが公式の推奨になる。Cyberの防御機能が必要なら、モデル能力ではなく安全境界がアクセス条件となるFairwindの枠組みに入る必要がある。