GATS:階層的世界モデルを用いたグラフ拡張木探索による効率的なエージェント計画
GATSは、体系的なUCB1ベースの木探索と階層的世界モデルを組み合わせ、計画中にLLM呼び出しを一切行わずに100%の成功率を達成する新しいエージェント計画フレームワークです。合成タスクおよび12の困難なシナリオにおいて、LATSやReActを上回る性能を示し、計算コストも低く抑えられます。
大規模言語モデル(LLM)エージェントはマルチステップ計画タスクで有望な結果を示していますが、LATS(Language Agent Tree Search)やReActなどの既存手法は計画中にLLM推論に大きく依存しており、高い計算コストと確率的な動作が課題です。本研究では、GATS(Graph-Augmented Tree Search)という新しい計画フレームワークを提案します。GATSは、体系的なUCB1ベースの木探索と階層的世界モデルを組み合わせることで、推論時のLLM呼び出しを排除しつつ、優れた計画性能を実現します。
GATSの世界モデルは3層で構成されています。第1層(L1)は正確なシンボリックアクションのマッチング、第2層(L2)は実行ログから学習した統計情報、第3層(L3)は未知のアクションに対するLLMベースの予測を行います。この階層設計により、計算オーバーヘッドを抑えながら高い精度を維持します。
分岐路や行き止まりを含む合成計画タスクにおいて、GATSは100%の成功率を達成しました。一方、LATSは92%、ReActは64%でした。コーディングワークフロー、ウェブナビゲーション、長期タスクなど12の困難なシナリオを含む包括的なストレステストでも、GATSは100%の成功率を維持し、LATSは88.9%、ReActは23.9%に低下しました。
特筆すべきは、GATSが計画中に1タスクあたり0回のLLM呼び出しで済むことです(比較としてLATSは37回)。また、決定論的な計画を生成し、実行間の分散はゼロです。これらの結果は、学習された世界モデルを用いた体系的な探索が、エージェント計画においてLLMによる探索を大幅に上回る可能性を示しています。本研究は、より効率的で信頼性の高いAIエージェント構築への新たな道を開くものです。論文はMaureese WilliamsとDymitr Nowickiによって執筆され、2026年7月9日にarXivに提出されました。