エンドツーエンドの自動音声認識(ASR)システムは、特に低資源言語において、希少な固有表現やドメイン固有の専門用語を幻覚的に出力することがしばしばある。検索拡張生成(RAG)フレームワークは大規模言語モデルを用いてこうした誤りを緩和できるものの、既存のアーキテクチャには大きな課題がある。標準的な疎検索は音声的な誤認識を無視してしまい、逆に重量級のクロスモーダル埋め込みは高いレイテンシを招く。本論文は、音声幻覚とループ幻覚を明示的に解消するために設計された、極めて効率的で純粋に語彙的なエラー認識フレームワークを提案する。
提案手法の中心は、対称的なテキスト正規化モジュールと、新しいエラー認識型の単語頻度・逆文書頻度(TF-IDF)アルゴリズムの統合にある。過去の誤りに基づいて疎な対角ペナルティ行列を構築することで、検索器は特定の高リスクな誤認識を含む訂正文書を数学的に優先する。これにより検索は単純なキーワード一致にとどまらず、既知の誤りやすいパターンに重み付けを行い、訂正に利用できる参照テキストをより正確に見つけ出せる。
評価では、FLEURSデータセットのペルシア語サブセットを用いて検証が行われた。その結果、エラー認識ヒット率は53.7%から90.9%へと向上した。エンドツーエンド評価では、統合フレームワークにより最終的な単語誤り率(WER)が23.06%から18.83%へと低減し、ほぼゼロの推論レイテンシで大幅な精度向上を達成した。
時系列の観点では、本論文は2026年6月19日にarXivへ提出され、番号は2606.24915v1、カテゴリはcs.CL(計算と言語)で、cs.AI(人工知能)およびcs.IR(情報検索)にも関連する。論文は4ページ、図1点、表2点で構成されている。著者はMohammad Aref Jafari-Raddaniで、提出時刻は2026年6月19日16:43:31 UTC、ファイルサイズは約32 KBである。PDF、実験的なHTML、TeXソースなど複数のアクセス形式が提供され、DOIは10.48550/arXiv.2606.24915である。
総じて本研究は、計算コストを大きく増やさずに、純粋に語彙的なエラー認識検索戦略によってASR訂正の効果を高められる可能性を示しており、特に低資源言語における希少な固有表現や専門用語の認識問題に対する軽量な解決策を提示している。