Dragos、メキシコの水インフラへの初のLLM支援攻撃を記録
サイバーセキュリティ企業Dragosは、メキシコのモンテレー都市圏の水道・排水施設に対する商用AIモデルを用いたサイバー攻撃を記録した。攻撃者は2025年12月から2026年2月にかけて、AnthropicのClaudeとOpenAIのGPTを利用し、侵入計画、悪意あるツール開発、SCADA分析を実施。OTインフラへの突破は失敗したが、Dragosは商用AIが重要インフラ攻撃の敷居を下げたと警告している。
サイバーセキュリティ企業Dragosは、大規模言語モデル(LLM)によって支援された、重要インフラに対する初の確認済みサイバー攻撃を公開した。標的はメキシコのモンテレー都市圏にある市営水道・排水施設で、攻撃は2025年12月から2026年2月にかけて行われた。Dragosは侵入過程で350の成果物を分析し、その大部分がAI生成の悪意あるスクリプトであることを明らかにした。
Dragosの報告によれば、攻撃者は主にAnthropicのClaudeモデルを技術実行の核として使用し、侵入計画、悪意あるツールの開発、SCADAベンダーの文書分析によるブルートフォース認証情報リストの作成を行った。OpenAIのGPTモデルは分析機能を担当し、収集データの処理とスペイン語出力の生成を行った。これらのAIツールにより、攻撃者はリアルタイムで技術を最適化することが可能となった——攻撃者には運転技術(OT)環境の経験がまったくなかったにもかかわらずである。最終的にOTインフラへの突破は失敗したが、Dragosは商用AIが重要インフラ攻撃の参入障壁を大幅に低下させたと警告している。
この事件は孤立した事例ではない。『Small Wars Journal』の「Anthropicの神話:私たちの教訓」という記事が指摘するように、最先端のAIモデルは戦略領域に参入し、前例のない規模でシステムの脆弱性を特定する能力を持つ。「時間圧縮こそが真の破壊である」なぜなら発見と悪用の間のギャップが劇的に短縮され、サイバー空間の攻防力学を変革するからだ。モンテレー攻撃は運用面でこのことを裏付けており、攻撃者はAIを活用してITアクセスからOTインフラへと移行し、AI支援なしでは困難だった経路を実現した。
しかし、Dragosの報告はメキシコを特に脆弱な標的にしているガバナンスの次元を完全には解決していない。Alma Keshavarzの2026年4月の書評『ラテンアメリカのサイバーセキュリティガバナンス』は、メキシコを含むケーススタディに共通する障害として、警察、司法、軍、情報機関が「縁故主義、クライアンテリズム、汚職、その他民主的なガバナンスの試みを生き延びてきた遺産的な権威主義的特徴に条件づけられている」と指摘し、これが「サイバーセキュリティの準備と成長に対する主要な障害であり続ける」と述べている。水道インフラのサイバーセキュリティは市町村のガバナンスに大きく依存しており、「政府と産業界の連携が未解決のまま」、「規制と依存の間の緊張が続いている」という現実は、モンテレー攻撃が孤立した事件ではなく、AI能力と持続するガバナンスの失敗の収束であり、今後も継続する可能性が高いことを意味している。