arXivに、『DoTime: A Synthetic Benchmark Generator for Interventional and Counterfactual Time Series』と題する論文(arXiv:2607.27263)が投稿された。著者はDennis Thumm氏ら3名で、2026年7月29日に提出されている。論文は、時系列における因果推論の既存ベンチマークが観測データ中心で小規模、あるいは特定領域に偏っており、医療・政策評価・気候科学など介入効果や反事実推定が重要となる分野で評価手法が不足していると指摘する。その課題に対し、DoTimeはオープンでスケーラブル、かつ理論的根拠を持つ多変量時系列構造因果モデル(TSCM)生成器として提案され、dotime PyPIパッケージとともに4つの凍結評価スイートとして公開された。
DoTimeの特徴は、従来の生成器にはない複数の機能にある。連続時間の介入ウィンドウ、正性ガードを備えた反事実サンプリングモード、中断時系列分析を厳密に一般化するレジームスイッチSCM、SCMパラメータの切り替えによる非定常ダイナミクスの構成、さらに評価ウィンドウ内にトレンドや構造変化を配置する決定論的ランプ・正弦波介入プロファイルをサポートする。これにより、現実の応用に近い介入・反事実シナリオを評価できる。
公開されたスイートは、トレーニング規模の10万軌跡スナップショットと8つの名前付き識別構造からなる。各軌跡には正確なグラウンドトゥルースが付与されており、介入軌跡のペアは常に同じSCMから生成され、連続時間スイートでは共有ノイズに基づく反事実サンプルが含まれる。さらに、参照ベースライン実装と評価ハーネスも提供され、再現可能な比較が可能になっている。
論文はまた、介入学習が同一容量の観測モデルに対して測定可能な方向精度の優位性をもたらすという反証可能な主張を提示する。各アーム3つの学習シードを用い、構造一致した保持エピソード上で評価した結果、介入事前学習を用いたPFNの精度ギャップは、すべての構造・系列長・シードの組み合わせで正となった。この研究は、因果時系列研究の標準的ベンチマークを提供すると同時に、因果基盤モデルの事前分布として生成器を活用する可能性を示している。