Vision-Language-Action(VLA)モデルは、大規模な視覚言語の事前学習を活用して柔軟なロボット操作を実現しているが、テスト時には二つの軸で脆さが残る。一つは空間汎化であり、物体の位置が訓練時と異なる場合に性能が低下する。もう一つはタスク汎化であり、見慣れたシーンに訓練時とは異なる言語指示が組み合わされると破綻しやすい。この脆さに対処するため、物体の位置特定や配置のための2次元ピクセル座標など、空間的・タスク認識的な情報をポリシーに与える手法が増えている。しかし本論文は、言語プロンプトや視覚プロンプトによる既存の表現ではこうした限界を解消できないと指摘する。対照的に、3次元点ベースの表現を用いてそれを直接アクションヘッドに投入すると大幅な改善が得られ、grounding信号をどう表現し、VLAにどう注入するかが本当の鍵であることが明らかになった。
そこで著者らは、軽量かつモデル非依存のモジュールを提案する。このモジュールはgrounding信号を3次元で表現し、グリッパーに対する相対変位を計算し、その結果得られる空間埋め込みをadaptive layer normalizationを通じてアクションヘッドへ直接注入する。モジュール全体は2層のMLPであり、VLAのバックボーンや事前学習パイプラインを変更する必要がない。そのため、既存の事前学習済みモデルの上に容易に追加できる。
実験はLIBERO-PROベンチマークで行われた。タスク摂動の条件では、GR00T-N1.6の平均成功率が31.2から77.5へ向上し、位置摂動の条件では28.1から60.2へ向上した。改善幅はそれぞれ46.3ポイントと32.1ポイントである。さらに$\pi_{0.5}$でも同等の改善が得られ、この機構が特定のバックボーンに依存しないことを示している。
論文の中心的な結論は、十分なgrounding情報を3次元に持ち上げてアクションヘッドへ直接注入すれば、VLAの空間汎化とタスク汎化の両方を解き放つことができるという点にある。しかもそれは、事前学習済みバックボーンの上に軽量なモジュールを一つ加えるだけで実現できる。本論文はShiang-Feng Tsai氏ら7名の著者によるもので、2026年6月26日にarXivへ投稿された。分野はロボティクス(cs.RO)で、論文番号はarXiv:2606.27663v1である。