大規模言語モデル(LLM)は、曖昧な入力をあたかも単一の意図された意味しか持たないかのように回答することがよくある。しかし、入力の曖昧性はモデルの不確実性の上流にある根本的な問題である。プロンプトが複数の妥当な解釈を許容する場合、重要なのはモデルがそもそも直接回答すべきかどうかを見極めることだ。
既存の入力不確実性を扱う手法は、LLMが生成した声明や明確化の質問に頼ることが多い。しかし、そのような変換は曖昧性を測定する前に、すでに入力の曖昧性を解消してしまっている可能性がある。つまり、モデルが明確化を行う過程で無意識のうちに曖昧性を減らしてしまい、検出結果が元の入力の曖昧さを反映しなくなるという問題がある。
この問題に対して、論文はラベル保持摂動フレームワークを提案する。これは、元の入力に小さな摂動を加えることで、意味的には元の入力に近く、かつそのラベル(正しい出力や意図)を変えない摂動を生成する。そして、モデルがこれらの摂動入力に対して示す応答の差異を観察することで、元の入力に曖昧性が存在するかどうかをより確実に推測できる。
著者らは具体的に2つの検出器を実装した。1つはブラックボックスのルールベース摂動ライブラリで、モデルの内部情報に依存せず、事前に定義されたルールに従って入力を書き換える。もう1つはホワイトボックスの重要度誘導法で、モデルの内部信号(注意や勾配など)を利用して入力の重要な部分を特定し、その部分に摂動を加える。これにより、モデル内部にアクセスできない場合とできる場合の両方に対応する。
実験は4つのデータセットで行われ、オープンドメイン質問応答、対話型質問応答、視覚的質問応答などのタスクをカバーしている。結果として、提案手法は出力側の不確実性に基づくベースラインと、LLMによる言い換え生成に基づく摂動ベースラインの両方を上回った。これは「まず曖昧性を検出し、その後で曖昧性解消を試みる」という原則の有効性を示すとともに、ラベルを保持する摂動がLLMの自由な言い換えよりも元の入力の曖昧性をよく明らかにすることを示している。
本研究は、入力の曖昧性検出をモデルの回答前の独立したステップとして位置づけるべきだと強調している。論文はAACL-IJCNLP 2026の本会議に採択され、コードはGitHubで公開されている。この研究は、より信頼性が高く慎重なLLM対話システムを構築するための新たな指針を提供する。つまり、モデルが答えを出す前に、質問自体が十分に明確であるかどうかを判断するのである。