本研究では、電力系統のセキュリティ評価を効率化するため、機械学習を活用したデータ最適化コンティンジェンシー・スクリーニングを提案している。電力網の大規模化や複雑化に伴い、事故時(コンティンジェンシー)の影響を迅速に把握し、事前に適切な対策を講じることが重要となっている。本論文では、系統の状態を「安全」「中程度」「深刻」の3段階に分類することを目的としている。
まず、ニュートン・ラフソン法による潮流計算を用いて、各コンティンジェンシーシナリオから系統データを抽出し、安全性の指標として総合性能指標(OPI)を採用した。前処理段階では、クラス不均衡への対処として合成少数過剰サンプリング(SMOTE)を、次元削減のための主成分分析(PCA)を導入した。IEEE-14およびIEEE-30母線系統を対象に、k=1、2、3のN-kコンティンジェンシーシナリオからデータセットを構築し、正規化、SMOTE平衡化、PCA変換、そしてSMOTE+PCAの4種類の前処理構成で、K近傍法(KNN)、ランダムフォレスト(RF)、サポートベクターマシン(SVM)を訓練・評価した。
評価指標は適合率、再現率、F1スコアであり、特に深刻クラスの分類性能が重視されている。実験の結果、ランダムフォレストが最も高い性能を示し、IEEE-30系統でF1スコア0.97、IEEE-14系統で0.86を達成した。SVMはPCA併用により分類精度が顕著に向上し、KNNはSMOTEおよびPCA変換との組み合わせに適していることが分かった。全体的には、モデル性能の向上に対するPCAの寄与がSMOTEよりも大きいという結果が得られた。一方、SMOTEは再現率を高めるが、誤検知(false positives)を増加させることがあり、精度とのトレードオフがある。
この研究は、機械学習が従来の事故解析手法に代わる、スケーラブルで強力な選択肢となり得ることを示している。特に、リアルタイムでのセキュリティ評価の改善が期待される。なお、本論文は第3回EIE International Conference on Computing, Networking, Robotics and Telecommunication(EIECon)2025での発表が承認されており、IEEE Xploreに掲載予定である。