2026年6月26日にarXivに投稿された論文で、Wenqi Geら6名の著者は、ヒューマノイドロボットが安定した移動と多様な操作を同時に実現する際の全身制御の課題を解決するため、複合全身模倣システム(Composite Whole-Body Imitation, CWI)を提案した。
既存の手法には、指令サンプリングのみで訓練されモーションキャプチャ(MoCap)データを使用しない場合、上半身の動作が人間の運動統計から逸脱し全身の協調性が低下する問題がある。一方、全身のMoCapデータを直接模倣する手法では、データセット内の多くの移動軌跡が安定移動シナリオには過激すぎるため、大規模なフィルタリングと拡張が必要となる。CWIの核心的な革新は、MoCapデータの用途を分離することにある。上半身の操作には多様な操作リファレンスを含む完全なMoCapデータセットを活用し、下半身の安定した指令条件付き移動は、厳選された専門家品質の歩行およびスクワットクリップで訓練された二重判別器によるAdversarial Motion Prior(AMP)で誘導する。
移動、操作、運動スタイルの目的間の衝突を緩和するため、CWIはマルチクリティックアーキテクチャを採用し、教師-生徒蒸留段階を通じて、両手のポーズと速度・高さ指令のみを条件とする全身ポリシーを生成する。この設計により、実行時に全身モーションキャプチャ装置を必要とせず、実展開のハードルを下げることができる。
研究チームはシミュレーション実験に加え、フルサイズのLimX Oliヒューマノイドで実世界展開を行った。結果は、CWIがロコマニピュレーションタスクで競争力のある性能、堅牢な全身協調、そして全身MoCap装置なしでの実用的なテレオペレーションを実現することを示している。論文では補足資料を含むプロジェクトページも公開されており、デモ映像などが提供されている。本研究は、MoCapデータを有効活用する新たなアプローチを提示し、ヒューマノイドロボットの日常タスクへの実用化を推進する可能性がある。