視覚SLAM(VSLAM)は急激な照明変化に弱く、例えば車両がトンネルを出る際、自動露出(AE)ポリシーが適応する前に画像が飽和し、トラッキング維持に必要な視覚的対応関係が失われる。この問題に対し、ラバル大学などの研究者らは、画像取得レベルと状態推定レベルの2段階で緩和する手法を提案した。画像取得には適応型ブラケット戦略B-Adaptを、状態推定には多露光シーケンスを直接利用するBVSLAMを用いる。
B-Adaptの核心は、シーンのダイナミックレンジをカバーする露光ブラケットを動的に取得し、隣接する露光間の光度オーバーラップを確保することにある。従来の自動露出が単一フレームの「最適」露光を目指すのに対し、B-Adaptは相補的な観測の組を提供することで、照明の急変時でも利用可能な視覚情報を保持する。
BVSLAMはさらに、高ダイナミックレンジ(HDR)マージのステップを省略し、多露光シーケンスを因子グラフ状態推定器の制約として直接組み込む。これによりHDRマージの計算コストや潜在的なアーティファクトを回避しつつ、異なる露光画像の相補情報をカメラ姿勢の最適化に活用する。
実験は通常環境と、32 m/s(約115 km/h)の車速でトンネル出口を繰り返し通過するシナリオで行われた。トンネルシナリオでは、B-AdaptとBVSLAMを組み合わせることで、自動露出画像のみの場合と比べて状態推定誤差が78%削減された。通常環境でも低い誤差を維持しており、ブラケティング戦略がロバスト性を高めつつ公称条件下の精度を犠牲にしないことを示している。
本成果は2027年IEEE国際ロボティクス・オートメーション会議(ICRA 2027)に投稿済みで、論文は9ページ・図6点、コードはGitHub(https://github.com/norlab-ulaval/bracketing-shows-the-way)で公開されている。