AIがオフィスワーカーの時間を節約するが、「ボットシッティング」で時間を奪う
新しい調査によると、AIはデジタルワーカーの週約11時間を節約するが、同時にAIの出力確認、誤りの修正、プロンプトの再実行に週6時間以上を費やしている。個人の生産性は向上するが、企業の13%しか顕著なビジネス利益を報告していない。
人工知能(AI)の普及が進む中、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のPaul Leonardi教授らが主導した新たな研究により、AIがオフィスワーカーの時間を節約する一方で、「ボットシッティング」という新たな作業を生み出していることが明らかになった。この研究はWork AI Instituteから発表され、スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校の学者も参加。2023年12月から2024年1月にかけて、米国、英国、オーストラリアの6000人のデジタルワーカーを対象に調査が実施された。
調査結果によると、AIを利用するワーカーは平均で週に約11時間の節約ができているが、そのうち6時間以上をAIの出力確認、誤り修正、プロンプトの再実行に費やしている。Leonardi氏は、「ほとんどの人は、節約したと主張する時間を得るためにツールに費やしている時間に気づいていない」と述べた。ワーカーがAIとやり取りする時間のうち、37%がボットシッティングに、36%が実際の作業に充てられている。
個人の75%が生産性向上を報告した一方、AI導入による明確なビジネス成長を実感している企業はわずか13%にとどまった。このギャップの一因は、ワーカーがAIの誤りを訂正するために費やす時間にある。具体例として、ジュニアソフトウェアエンジニアのRobin氏が就寝前にAIが生成した数千行のコードを貼り付けたが、その中にエラーがあり、シニアエンジニアが締め切りに追われながら修正する事態が発生した。
調査では、AIセッションの3分の1以上が完全に失敗し、再起動や大幅な手直しが必要であることも判明。また、41%のワーカーが説明できないAI生成成果物を納品したことがあると回答した。Leonardi氏は、「現在の生成AIツールでは、個々のワーカーが実質的にマネージャーの役割を期待されており、AI管理にかかる労力が過小評価されている」と指摘する。
シリコンバレーの企業はAIの最大活用を推進しているが、Uberの例ではAI予算を4か月で使い切り、有用な機能をリリースできなかったケースもある。この報告は、AIの効率性の背後に、目に見えない多くの人的労働が存在することを浮き彫りにしており、この問題は容易に解決しないと結論づけている。