ソフト連続体ロボットは、その柔軟性と適応性から医療や探査などの分野で注目されている。しかし、正確な固有感覚(自身の形状把握)と接触検出(外部接触の感知)を実現するためには、高変形性構造へのセンサ統合が大きな課題となっている。最近、イタリアと英国の研究チームは、軟質アーキテクチャセグメントに埋め込まれた流体制御圧力センサの共通信号から固有感覚と接触信号を分離する、革新的なモデルベース戦略を提案した。
各アーキテクチャセグメントは「神経支配トリミングヘリコイド」(Innervated Trimmed Helicoid, ITH)と呼ばれ、内部には6つの空気チャネルが円周に沿って局所的なジグザグパターンで配置されている。各ITHセグメントは3つの主要な運動自由度(軸圧縮、X方向曲げ、Y方向曲げ)しか持たないが、6つの圧力読み取り値は過決定系を形成する。区分一定曲率モデルを用いて圧力を形状にマッピングし、Huber回帰により残差が異常なチャネルを特定することで外部接触を検出する。
単一ITHセグメントの試験では、この手法は固有感覚形状推定において相対曲げ誤差0.11±0.02を達成し、178回の試行で接触検出率97%を示した。これらの結果は、提案戦略の有効性とロバスト性を証明している。さらに、研究チームは8つのITHセグメントを腱駆動ソフト連続体マニピュレータ「Air-Helix」に統合し、全腕デモンストレーションを実施した。デモンストレーションには、触覚教示(人間のデモンストレーションによる動作伝達)、アドミッタンス制御力調整(接触時の力フィードバック調整)、触覚物体再構築(接触感覚による物体形状再構築)が含まれる。
この研究の核心は、局所的な流体神経支配(各セグメント内に埋め込まれた圧力センサ)とモデルベースの冗長性解決を組み合わせることで、アーキテクチャソフトロボットにおいて固有感覚と接触センシングを同時に実現する実用的な道筋を示したことにある。このアプローチは外部センサや複雑な配線を必要とせず、ソフトロボットのヒューマンロボットインタラクション、医療手術、未知環境探査などの実用的応用を促進する可能性がある。本論文は2026年IEEE/RSJ知能ロボットとシステム国際会議(IROS)で発表予定である。
まとめると、この研究はソフトロボットセンシングの重要な課題を解決するだけでなく、将来の研究に新たな方向性を提供する。モデル駆動型の手法により、固有感覚と接触検出を分離することで、ソフトマニピュレータはより安全かつインテリジェントに環境とインタラクションできるようになり、次世代ソフトロボットの発展の基盤を築く。詳細に興味がある読者はarXiv:2607.15582を参照されたい。