米国のウェブストリーム録音から構築された宗教ラジオ放送文字起こしの大規模コーパス
研究者らは、2025年7月の1か月間に785のウェブストリームから録音した宗教ラジオ放送の、60億語以上の文字起こしを含むコーパスを構築。宗教メディアにおける社会・政治問題の分析を可能にする。
米国において宗教ラジオは広く普及しているが、十分に研究されていないマスコミュニケーションの一形態である。今回、arXivに投稿された研究(arXiv:2607.26249)では、大規模な宗教ラジオ放送の文字起こしコーパスが紹介されている。このコーパスは、2025年7月の1か月間に米国のライブウェブストリームから収録された英語の宗教ラジオ番組を対象としている。
研究者らは、785の異なるストリームから15分単位のセグメントをローリング方式で録音した。これらのストリームは合わせて2000以上のAM・FM局の信号を再放送しており、結果として70万以上の録音と6000万行以上の話者分離された音声データが得られた。各録音は自動化されたパイプラインによって文字起こしと話者ダイアライゼーションが行われ、さらに大規模言語モデルを用いて番組形式やトピックごとにセグメント化・ラベリングされた。
コーパスは、ストリームメタデータ、録音メタデータ、文字起こし行の3つのリンクテーブルで構成されている。これにより、地域や宗教伝統による放送内容の差異の記述的研究、宗教メディアにおける社会的・政治的課題の議論の分析、そして過小評価されている音声領域での研究が可能となる。
本研究はIC2S2 2026で発表される予定であり、Samuel Bestvaterら5名の著者によるものである。コーパスは無料で提供され、計算社会科学、言語学、コミュニケーション学の分野での利用が期待されている。例えば、南部の福音派と北部のリベラル派の放送内容を比較する研究や、選挙期間中の政治広告の頻度を分析する研究などが可能である。このリソースは、宗教ラジオという未開拓の領域における音声認識モデルの性能評価や、特定の社会的バイアスの検出にも活用できる。著者らは、コーパスを公開し、コミュニティによるさらなる研究を促進する計画である。