推論が計算リソースの70%を消費し、訓練は30%に — シリコンバレー投資家 張璐氏 @AIGC2026
Fusion Fund創業パートナーである張璐氏は、AIの計算需要が訓練から推論へシフトし、将来的には推論が70%を占めると予測。データセンター内の通信消費電力は計算自体の100倍に達するため、光通信技術が鍵となる。Physical AIの最大の課題は高品質な実世界データの不足であり、合成データでは限界がある。医療、宇宙、ナノロボットの3分野が有望と指摘。産業統合のスピードがAI実装の真の競争力であると強調した。
2026年中国AIGC産業サミットにおいて、Fusion Fundの創業パートナーである張璐氏は、AIの新たな展開について講演した。同氏は、業界の焦点がモデルと計算能力から、インフラの「通信層」と物理世界の「データ層」に移行していると指摘した。
張氏は、推論が将来のAI計算リソースの70%を消費するようになると予測。訓練が一度きりの投資であるのに対し、推論は持続的な需要を生み出す。特に、チャットボットからエージェントへの移行により、推論需要はさらに増大する。データセンター内の通信が消費する電力は計算そのものの最大100倍に達し、光通信技術などの省電力通信が不可欠だと述べた。
Physical AIの分野では、アーキテクチャと計算リソースは整いつつあるが、高品質な実世界データの不足が最大の課題である。合成データは補完的には有用だが、エッジケースのデータ収集を代替できない。張氏は、エッジコンピューティングと小型モデルの重要性を強調。例えば、Raspberry Pi上でGPT-4と同等の能力を持つモデルが実現しつつあり、プライバシーに配慮したAI展開が可能になる。
有望な応用分野として、張氏は医療、宇宙、ナノロボットを挙げた。医療分野は高品質データが豊富で、イーライリリーとエヌビディア、メルクとGoogle Geminiなどの大型提携が相次いでいる。AIは細胞治療やパーキンソン病などの個別化診断・治療に活用され、Medraのような物理AIロボットが実験を自動化している。宇宙分野では、今後3〜5年で宇宙経済が急成長し、AIとロボットがインフラ構築や探査に不可欠になる。ナノロボットは血管内の血栓除去やDNAレベルの薬物送達など、未来の医療を変革する可能性を秘めている。
最後に張氏は、技術革新はスタート地点に過ぎず、産業統合のスピードこそがAI実装の真の競争力であると述べた。大手企業のAI予算は数千万ドルから数十億ドルに増加し、調達サイクルは半年から数週間に短縮されている。この急速な導入により、実世界のデータとフィードバックが得られ、モデルとアプリケーションの継続的改善が促進される。